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「十二の年、兄貴の世話で学問を始めた。林大学頭の所へ連れて行かれて、それから聖堂の寄宿部屋の保木巳之吉と佐野郡左衛門という先生に就いて、『大学』を教えてもらった。
おれは学問は嫌いだから、毎日桜の馬場へ行って、馬に乗ってばかりいた。」
#はやおき訳
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「おれの養家の婆あ殿は、若い時から意地が悪くって、おれの義理の両親もいじめられて、そのせいで若死にしたんだと。おれを毎日いじめなさったが、おれもいまいましいから、思い付く限りの悪態をついてやった。」
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「おれは一番最後に行く番が当たった。四文銭を磨いて、化け物の目玉に貼り付けるのだ。夜の九つ半(午前1時頃)ぐらいだったか、その晩は真っ暗で困ったが、とうとう目をつけて来たよ。皆に褒められた。」
(3/4)
「亭主はいいやつで、その晩は泊めてくれた。
翌日、
『まず伊勢の大神宮へ行って、旅の安全を祈ってきなさい』
と言われた。物乞いでもらった米と麦とを三升ばかりに、銭を五十文ほど、亭主に礼としてあげた。」
(3/4)
「その明くる日、二子山まで歩いたが、日が暮れるから、その晩はそこで寝た。
明け方、三度飛脚が通りかかって、
『手前は夕べ、ここで寝たのか』
と聞いてきた。
『あい』
と言ったら、
『強いやつだ。よく狼に食われなかったな。今度から、山では寝るな』」
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「岩の角で金玉を打って、気絶していたらしかった。
翌日、ようやく意識がハッキリしたが、金玉が痛くて歩くことができない。
二、三日経つと、少しマシになった。そろそろと物乞いしながら歩いたが、箱根宿に差しかかると、金玉が腫れて、膿がたくさん出た。」
府中から箱根まで戻った小吉は、箱根宿の手前のどこかで崖から転落し、恐らく関所を避けるために二子山へ迂回して、その後、小田原三枚橋で人足にスカウトされます。
#夢酔独言