冥界にあるレストランで、天国に行けずに彷徨う魂に美味い飯を振る舞って成仏させるという人情+コメディモノ。バトルやアクション的要素もあり、初期の『幽☆遊☆白書』的な感じ。肋骨剥き出しのヒロインのキャラデザ、ロボやデュラハンみたいな首とれ美少女に対する捻りとしてすごすぎる。 
   ここ、エロ漫画家特有のアクロバティックカメラワークすぎて笑ってしまった。この「床掃除やってるシーンでキャラを透明な板の上に立たせて見上げるアングルで撮る」やつ、『ブレイキングバッド』でしか見たことなかったのにこんなところで見るとは。 
   1巻と変わらず「レトロゲームの知識だけはあるが遊んだことはない女子高生」を主人公に据え続けて、レトロゲの話とプレイを繰り返す不思議な建て付けを続けててただただ変……! VCとかアケアカの言及もない(存在しない世界くらいの扱いになってる)し、通底する世界観が奇妙な漫画だ。 
   ヒロインその2がお嬢様韓国人で、でも韓国的ステレオタイプなイメージは使ってないキャラなのはびっくりした。あんまり見ない設定だ。 
   最終巻にネウロ連載前のボツカット載せちゃうのもすごい胆力だ。初期の絵のバランスの悪さはよく言われるけど、それでもめちゃくちゃ練習して連載を迎えてるんだなぁ…… 
   しかし、葛西のキャラいいよな〜〜こういう悪人キャラって死を恐れてないことですごさを演出するのに、長生きしたいって言わせちゃう、でも、どうせ死ぬしかないのが目に見えてるっていうバランスがすごい。 
   人はサディストとして生まれ、人生によりマゾに転んでいく、という、含蓄があるんだかないんだかわからないけど堂々たる断言、あまりにも力強い。でも、実際そうなのかもしれない説得力もある。 
   14巻にしてまったく理由のない絶対悪としてのXの登場、それを悪意の定向進化として説明をつけるSF的センス、本当に痺れる。ここだけに絞り込んで小説のパッケージにしたら伊藤計劃とかのそれっぽいと思うんだよな……。 
   暴力団との繋がりを明言するの、現代では一言で即死レベルのミスだけど、90年代の漫画だからか普通にある。スマホやネットじゃなくてこういうところに時代が出るの、おもしろいな。 
   紙の総集編で読んだんだけど、写植の漢字だけ不自然に太かったり文字間が変だったりするので、レイヤー結合せずに入稿して印刷所の環境になかったフォントが置き換えられたくさい気がしてるのだが、実際どうなんだろ。