kindleで読んでて驚いたのだが、おそらく底本にはなかったであろう箇所で『シンドラーのリスト』みたいな、モノクロの中で血だけ赤い演出が増えてる。元原稿がこうだったのか?と思ったけど、明らかにデジタル彩色した感じの赤なんだよな……90年代半ばの漫画で元がデジタルなわけもなく、謎。 
   1ページ目1コマ目これから始めるの、とにかく最初にびっくりさせるという大原則のつよさを感じさせてすごくいい。結局そのあとに性があるのはみんな知ってて横並びなんだから、それなら最初のページで掴まなきゃというのは本当に正しいよ。 
   マジでそうなんだよな(でもやっていくしかないんだよな)とすごい頷いてしまった。結局、ギャンブルのゲーム的な詰めの甘さはあっても、この漫画のこういう言葉の力強さに引っ張られて読んでる気がする。 
   銀行内での派閥争いを起こして、次章以降の戦いを大きくするためのセットアップにひたすら奔走してるような巻だったけど、ときどき入る人生観や勝負哲学みたいなもののセリフのチョイスにキレがあってよかった。こういう正気で狂ってる感じが一番イケてるよ。 
   デスゲームの罰を受けたらどうなるかの実演に3分間クッキングみたいな手法を使うのとかもそうなんだけど、作劇の効率化テクニックがシリアスギャグ的な側面を持っちゃってて笑ってしまう。どれくらい意図してるのかわからないけど愛嬌がある。 
   『嘘喰い』の梶くんや夜行さんと貘さんみたいな関係をうまく銀行にスライドさせてるけど銀行員設定でここからどうしていくんだろ?とは思ってたら「銀行員はキャリアが命だから……キャリアを通貨代わりに賭けて戦え!」って言い出して爆笑した。天才の発想。