反知性主義(日本的用法)に対するカウンター、クラシックオタクみたいなことを力強く言ってくれるのも気持ち良すぎる。LOVE。
あとヤクザの金丸がつよすぎる。最初の強敵でこれなの、『ブレイキング・バッド』の初期プロットの「トゥコがシーズンボスの予定だったルート」(脚本家のデモで制作が止まり、役者の予定が合わなくなったのに合わせて没になった)みたいな感じだ。
夫の主観視点のPOV回があるの、技術的に上手さをビシビシ感じつつも、いきなり愛撫紛いのことやり始めてびっくりした。このまま二桁巻台に入ったら「接合部さえ映してなければ大丈夫」みたいな感じになってるだろ、これ……
最終巻にネウロ連載前のボツカット載せちゃうのもすごい胆力だ。初期の絵のバランスの悪さはよく言われるけど、それでもめちゃくちゃ練習して連載を迎えてるんだなぁ……
小説や文芸の業界の描き方がライブ感で二転三転するので、あまりにも凄まじいことになっている。作家が〆切ギリギリにまったく違う原稿を送って文芸誌に載る作品をすり替える(すでに台割はできてるし文字数もページ数も違うし、編集者ではなく作家がやろうとしてるし)とか、あの、あの……!!
エロゲ題材の必然性そのものはあったりなかったりのままだけど、ヒロインが七転八倒しつつスケベに持ち込もうとし、あらゆる話題が1・2のセックスに引きずり込む論理のアクロバットに展開されるので、スケベコメディとしてテンポがよくてめちゃくちゃおもしろい。表情描くのうまくて好き。
ヒロインその2がお嬢様韓国人で、でも韓国的ステレオタイプなイメージは使ってないキャラなのはびっくりした。あんまり見ない設定だ。
暴力団との繋がりを明言するの、現代では一言で即死レベルのミスだけど、90年代の漫画だからか普通にある。スマホやネットじゃなくてこういうところに時代が出るの、おもしろいな。
漫画家が拳銃を持って殺し屋に身を投じる支離滅裂な話をずっとやってきたのに、ここに来て「自らの人生を喰らわせた本物の物語を咲かせる」みたいな話をし始めて、あたかも全体にまとまりがあるかのような空気になりだしたので笑う。その割に言葉の圧はつよく良いこと言ってるふうに見えるという。