たべることは、生きること。
食べることの病である摂食障害は
生きることの様々なシーンで
困難が生じます。
家族との毎日の食事や,
学校や職場での給食やランチや,
友人との楽しい外出が困難になります。
食べること・食べないことに
一日の予定、さらには
人生のすべてを振り回されていきます。
ある当事者の方が私に尋ねました。
「摂食障害体験漫画に出てきた
Aちゃんは、最終的に何㎏だったんですか?」
「Cちゃんが、一番痩せてるとき何㎏になったんですか?」
「私は今、〇〇㎏です。AちゃんやCちゃんよりも
痩せてますか?」
・・これが、本書で、体重計の数値を明記しなかった理由です。
努力さえすれば
すべてを”コントロール”できる・・
と思っていました。
学校の成績も、
自分の体重も・・・
努力しても努力しても
コントロールできなくなるのが
摂食障害でした。
ふつうに食べるという、ごく普通のことさえ
できなくなった自分は
最低の人間だと思っていきました。
摂食障害が、様々な心の病を
併発することがあります。
”うつ”や”パニック障害”はよく知られていますが、
”アルコール依存”や”窃盗症(クレプトマニア)”も
深刻です。
低年齢層では特に後者…
万引きが、摂食障害に起因するものと
知らず、止められず、苦しむ子どもたちが
たくさんいます。
家族では、
摂食障害の発見が難しいことがあります。
本人が頑なに隠すこと、
毎日顔を合わせるため、変化に気が付きにくいこと
さらには、思春期になれば、子どもの
体を見る機会が減ること・・など
様々な理由があります。
だからこそ、子どもに関わる全ての人の
眼差しで、見守って欲しいです。
摂食障害に様々な心身の影響があります。
私が知らなかったのは
「歯」への影響。
教えてくれたのは、#ろぺあゆみ さん
摂食障害により歯のほとんどを失いました。
甘いものの過食による、虫歯や、
嘔吐を繰り返すことで
胃酸により歯が
脆くなっていくのです。
そんな知識も知って欲しいです。
摂食障害は、当事者にとって本当に苦しい病です。
でも、自分が母になり気が付きました。
私の母もまた、私と同じくらい
戸惑い、苦しんだのではないかと・・。
本書は、保護者の方々に向けての章も書きました。
大事な子どもたちから笑顔を奪った、この病について
少しでも、知って頂きたいです。
痩せている人だけが摂食障害ではありません。
拒食期の痩せて心も体もボロボロの時も
辛いのですが・・
過食期の、心と体のコントロールを失った時の辛さは、言葉に尽くせません。
一見健康を取り戻したように見えるので
周りは安心しますが、本人はむしろ
拒食期より傷ついている場合も多いです①
摂食障害の当時
一番うれしかったのは
私がパニックを起こした後に
時々、母が連れて行ってくれる
喫茶店での、母と二人っきりの時間。
当時、決して裕福ではない我が家にとって
贅沢なひと時だったと思います。
でも、私にとってどんな高価なセラピーを
受けるよりも心を癒してくれました。
摂食障害の過食嘔吐は
その症状の激しさに
本人も周りも驚き、その症状を
抑え込もうとします。
でも、症状は無理やり抑えていた、
感情が爆発したもの。
必要があって吹き出て来たもの。
その原因をほぐしていけば
いつか自然と治まるもの。
「ま、いいか」と思えた時
出口が近いかもしれません。