雑誌が届いていた。西岸良平の横溝パロディ漫画『青春奇談 犬神家の人々』が掲載されている『漫画アクション』昭和58年3月10日号。
犬神家のドラ息子との結婚が猟奇的な展開に!私立探偵の金田市京介も出てるよ!
『ママが消えた!?』(鈴原研一郎)は、タイトルとホテルに宿泊したはずの母親を誰も知らないという展開でわかるとおり、アイリッシュ『消えた花嫁』の翻案っぽい。
あるいはパリ万国博覧会で母親が消えたという都市伝説も参考にしているかも。
岩井しげお『武士道残酷物語─犬神家の魔族─』は、大坂夏の陣で功をあげた犬神家の末裔である狂人4兄弟と公儀に雇われた殺し屋の死闘!
ただいいところで別のマンガが乱丁で入っており、貸本屋のオヤジが謝ってる。
『ママが消えた!?』
旅の途中に会った誰もがスーザン母子を知らないといい、ついには自宅にまで見知らぬ他人が住んでいたことに。刑事が真相を突き止める手がかりはちょっと凝っている。
ヒロインの名前はスーザンなのに、最後でアリスって言っちゃってるわ。
(アリスは『消えた花嫁』のヒロイン)
あとは神保町での収穫を。盛林堂さんの本は相変わらず美品。本陣のオビ付きと水谷準、女探偵佐藤みどりの手記を。
清水正二郎は集めているわけじゃないけど犯罪実話なら別。ボヘミアンズギルドさんではオビ付きの桃源社小栗虫太郎と丹下左膳なと無声映画関連を。森下雨村はオビの横溝につられて。
『こがらしの夜』(木内千鶴子)は、治療費が払えないため名医に母親の診断を断られた少女が、名医の息子の無実の証言を拒む物語。ああ、清張『霧の旗』に似てますね。ただしこちらは少女マンガ的に平和な解決。
『のろいの黄金塔』も含めて同じ号に3作も翻案めいた作品が掲載されていた時代。
ここしばらく探していた雑誌がようやくわが手に。
お目当ては横溝ブームの特集記事。A4サイズの本誌にモノクロ記事5P+『八つ墓村』ダイジェスト4Pと意外にもちゃんとしたボリューム。そして、影丸譲也のマンガ版『八つ墓村』の実状を知る編集者の証言が珍しい。これについては後述。
#おすすめのオカルトミステリー作品 に、つのだじろうの金田一耕助コミックスをあげておられる方を散見。たしかに作中で心霊現象が起きる展開はオカルト仕立てだが、実は金田一耕助の解決は論理的でオカルトには頼っていない(降霊術を「利用」したりはあるけど)。ぜひ読み返してみてほしい。
こんな金田一さんの時代を勉強するのにピッタリな本が出てたなんて!さっそく買いました。
『戦後復興 日々の楽しみ 東京近郊庶民のレジャー』(青木宏一郎 八坂書房)
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