7月末刊行の短篇集のゲラを確認しています。「よく描いたなおれ…」という感想しかない。よく描いたよ…。過去の自分を誉めたい。誉める。えらい。「爪のようなもの・最後のフェリー その他の短篇」という長いタイトルです。書店さん、ネットショップで予約もはじまっています。よろしくお願いします。
「私が一番きらいなのは
わけわかんないカチカンを
むりやり押しつけられる
ことなの!」
「Papa told me」の知世ちゃん、そのとおりだぜ。
急に思いついたのですがちょっとずつ新刊の収録作品を紹介したいと思います。「最後のフェリー」は、ヴェネツィアに研修に来た男の子が、現地の女の子に恋する話。女の子ジョルジャは僕のなかでスタンプにしたいキャラクター1位です。はじめてペンで描きました(普段は爪楊枝でマンガ描いてます)。
「片岡義男の『彼女のリアリズムが輝く』」は片岡義男さん原作。小説家の麻美子は夫の鍵束に見慣れぬ鍵を見つけ、女性の存在を知る。この出来事をいかに推進させれば、よい小説の材料になるか…。片岡さんの媚びない女性の姿、好きです。
「タゴールの『妖精(パリー)』」は、世界初のアジア人ノーベル文学賞受賞のインド人作家タゴールの小品をコミカライズ。「おじいさまのお話は嘘ばかり。ほんとうのお話聞かせてよ」という孫娘に、作家のおじいさんが語る「もっとほんとうのこと」とは――。
「リングワンデルング」。友人も恋人もいないつかさは、山のなかのお屋敷で住みこみ家政婦として働いている。屋敷にはお嬢様がひとりいるだけだが、ある夜若い男の姿を見かける――。クローズド・サークル(←大好物)でいったいなにがあったのか。つかさの、目の下のクマがいいですよね。
「ムルの顔」。新婚カップルはボルネオ島の洞窟めぐりをしている。そんななか夫の姿が消えて、戻ってきた夫は――。洞窟もジャングルも、描いててしんどかった(笑)。「ここだけはちゃんと描かねば…!」の連続で、けっきょく全部ちゃんと描く、ということのような気がする。マンガは。