「ナポレオン」連載開始当初の長谷川先生は,女性を描くのが苦手で母親レティッツィア,フランス王妃マリーアントワネット,皇后ジョゼフィーヌの3人しか描きたくないと仰れておられたが,高坂桐乃をモデルにしたプロシア王国后妃ルイーゼは容姿より内面をモデルに描かれ,「ラノベ文法」を会得されたのだ。
アニメ「美少女戦士セーラームーン」の主題歌は断然「ムーンライト伝説」だが石田敦子先生の漫画「アニメがお仕事!」第7巻巻末の「あのOP一回も「セーラームーン」て言っとらんが」「でも完全にセーラームーンのテーマになっとって,それ以外ありえんがぁ,それがすごいんよー」という指摘に思わず唸る。
知っていますとも露伴先生。フランスにもあるんですよ「懺悔室」が。フランス兵学校で教師や生徒や懺悔を聴く神父までもがナポレオンがコルシカ出身であることを侮辱し,怒り狂った彼が大暴れする施設のことですよね?「ナポレオン 獅子の時代」第1巻を読んで,よく知っているんです私。
「ナポレオン 獅子の時代」第3巻ではマッセナの少年時代が描かれ,石鹸作りの重労働によって得られた腕力で愚連隊「マッセナ団」を結成,13歳で金品強奪目途で最初の殺人を犯す。ルークとヤンはマッセナ13歳を「綾波レイより年下」「Vガンダムのウッソとタメ」「肩の赤いスコープドッグを操縦」と評す。
「ナポレオン 獅子の時代」第2巻後書きで長谷川先生は「本作は5~6巻続けば上等」と仰られたが「HELLSING」でセラスとゾーリンの対決を描かれておられた頃の平野耕太先生が,角川版「聖学」の走書きで本作の紹介をして下さり,追い風が吹いた。本作は通算33巻目が上梓され,休載ゼロで連載17年目に入る。
漫画家の長谷川哲也氏は「ナポレオン」の本挿話をカーペンターの「要塞警察」若しくは「アラモの砦」を念頭に置いて描かれたという。ナポレオン・ウィルソン役を演じたのはウディノ元帥,リー役はウディノをして「君は男に生まれるべきだったな」「女にしとくのが実に惜しい」と言わしめた豪胆な婦人。