『大奥』綱吉編、初見時は吉保が「権力の座に上り詰めるために美辞麗句を並べて綱吉に取り入り続けた」的なキャラなのかな…と思えたのに、あのラストを経て改めて読み返してると、吉保は綱吉に対して本音しか語ってないというか、むしろ思ってること全部言っちゃう人みたいに見えてきて迫力がある。
『大奥』、出番少ないけど家宣も好きなんだよね。阿部正弘もだけど、定型的な美女の枠に収まらない「傑物」って感じの(世界的にフィクションでは層の薄い)中年女性キャラが多いのが本作の豊かで面白いところ。詮房→家宣のドデカ感情もいいし(やっぱそのへん綱吉編からドライブかかった感あるよな)
『鋼の錬金術師』読み返して、ウィンリィ良いキャラだよな…と感心してる。機械オタクのメカニックというのがまず良いし、ちゃっかりした現実的な面もあって(かわいいけど)へんに理想化もされてない。こういう少年漫画のいわゆる"ヒロイン"的な立ち位置のキャラとしてはかなり稀有な造形にも思える。
『天幕のジャードゥーガル』、モンゴル絶許嵐コンビことファーティマとドレゲネの関係が良い。こことか好き(2巻・p159)
『レベルE』、このギャグとか非常に有名でミーム化もしてるが、やはり何度読んでも笑う。冨樫先生の秀逸なギャグセンスを堪能できる(ちょっとコワイけど)貴重なコメディでもある。
『レベルE』読み返してるが、カラーレンジャー編は今思うと完全にハンターのグリードアイランド編の原型という感じだ。メタな小ネタも楽しく、この「はまり手前の状態」とかしょっちゅう思い出してしまう
『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』、メアリー・シェリー先生の性格がイイよね。後先考えなかったりファンを無下にできなかったり人間臭い。当時の性差別的な学説もさらりと皮肉っててイイ(ワグナーはマイスナーと一緒に「マイスナー小体」みつけた人らしい)
『ギャグマンガ日和』、この観点で論じられているのは見たことないが、ジャンプ漫画の中では最も女性キャラの描写にリアリティがある作品といっても過言ではない気もする。一切の幻想がない(いや幻想は全方向にないのだが)
『大奥』最終回に出てくる少女が津田梅子なのもこれしかないというチョイス。日本初の女子留学生にして女子教育の先駆者。ジェンダー反転日本史SFという奇想の大河を、本作ならではの反転世界を生きた天璋院篤姫が、冒頭の「他言無用」を特別に破って、津田という現実に接続して締める。完璧なラストだ
水木しげる『昭和史』、ねずみ男が狂言回しとして登場するのもイイ。現世に通じた俗っぽさと浮世離れ感を兼ね備えたこのキャラにしかできない、ぴったりな役回りだな。今の作家が同じことやったら「作品に政治を持ち込むな」「キャラに思想を語らせるな」とか色々言われそうだが…
水木しげる『昭和史』、このへんも地味に強烈だったな。戦場に送られる青年の間で哲学や難解な書物が大流行したのだが、その理由は「もうすぐ死ぬから」という身も蓋もないものだった…と語る水木サン。言われれば「そうか…」と思うが、こういうのはまさに当時を生きた人の証言がないとわからないよな