『社長 島耕作』3巻4巻のロシア篇を読み直す。
八木取締役が愛人に指示して億単位のインサイダー取引をしたあげく嫉妬に狂って愛人をロシアまでストーキングして絞殺、自分もロシア諜報員に殺されるという、島耕作全史の中でも下から数えられるダメエピソードで、ロシア情報が頭に入ってこない。
水島新司による、恐らく唯一のサラリーマン漫画『サラリーマン太平記』(1968年)。給司(当時のお茶汲み係)から正社員になった自動車販売会社のお人好しサラリーマンが産業スパイ容疑で解雇され、屋台のラーメン屋として再出発する人情劇。ラストで作者が突然登場するメタ展開にビックリ。
ジャンプ+の『株式会社マジルミエ』は、もう面白いということでいいと思う。魔法少女meetsサラリーマン漫画という設定に、池井戸潤的な大企業対中小企業という芯を通し、中小ベンチャーならではの新人OJTが爽快に描かれる。次世代のサラリーマン漫画。
益田ミリ『マリコ、うまくいくよ』で、桑田さんが入社2年目にアドバイスする場面。コーチングとしてすごく正しいんだけど、自分はいまだに、会議では絶対一回は発言するようにと指導してしまう。社会人歴10年近くたっても発言できない人って結構いるので、強制しないと変われないような気がして……
毎週水曜日のひそかな楽しみ、LINEマンガの柳沢きみお『新訳 罪と罰』。主人公がパソコン/スマホを否定するという、きみおの普段の主張そのままの台詞を吐いていて、なるほどこれは世捨て人となったきみおがラスコリニコフに自分を投影しようとする作品なのだなと気がついた。
サレンダー橋本『明日クビになりそう』第3巻。意識低い系の屑サボリーマンの日常を描くギャグ漫画。令和のスーダラ節。初期のウンコネタが無くなるかわりにダメな後輩が仲間入りしてバディものに発展。第95話「了解です」は我が身を省みてグッときた。
1987年に柳沢きみおが描いた『俺にはオレの歌がある』。つげ義春の純文学的短編『退屈な部屋』をきみおが大衆小説的に解釈した佳作。家族や会社に内緒で部屋を借りて二重生活を始めた35歳サラリーマンの心の旅。後半は今読むと近年の中年meets女子高生マンガの先駆的な展開にも見えた。