ソドムのインタビューが読みたくて『別冊少年チャンピオン』を買ったら、ルノアール兄弟の『少女聖典ベスケ・デス・ケベス』という漫画が凄かった。巷のペイメントサービス乱立を批評する不条理シモネタギャグで、電車の中で声出して笑った。
『騎士団長 島耕作』、予想よりずっと面白い。異世界の騎士に課長時代の島耕作の記憶が蘇り、同じく転生した樫村や大町久美子たちに導かれ、王国を危機から救うために「島耕作レベル」を上げて奮闘。たんなるギャグではなくストーリー漫画として充分成立している。原作愛に満ちた良質な二次創作。
ジェントルメン中村の『ようこそ!アマゾネス☆ポケット編集部へ』、凄く面白かった。『女犯坊』みたいなタッチなのに暴力やパワハラではなく洞察と知恵で難局を突破する人情系お仕事ギャグ漫画。全ての話の完成度が高い。
『かりあげクン』最新巻(63巻)を読んでいると、登場人物がみんなテレビモニターを縦置きにしているんだけど、今ってこれが普通なの?
太平洋戦争を描いた漫画として今も記憶に強く残るのは森川久美の『南京路に花吹雪』とその続編『Shang-hai 1945』。国家に翻弄される個人を悲恋とダンディズムで彩り、国家を超えたなにかを信じようとする傑作。読み継がれる為にも電子書籍化すべき。
『いいひと。』終盤(1999年)では、バブル崩壊後のリストラに苦しむ社員たちが蜂起。これに一部の経営層が賛同し、会社家族主義の再建を提案する。これもこれでラディカルだった。
会社が家族だという見立ては、それ自体が悪なのではなく、ネグレクトや育児放棄があった場合は問題ということ。
サラリーマン金太郎は新入社員時代、会社を家族ではなく恋人に見立て、「会社と恋愛がしたい」と発言した。1995年。血縁ではなく恋愛だから、別れることもある。実際にこの後、彼は何回も転職することになる。会社家族主義からの脱却を早い段階で提案したラディカルなサラリーマン漫画だった。
古谷三敏『ダメおやじ』5巻の「蒸発チクワ作戦」は、会社も家庭も嫌になったサラリーマンが桃源郷行きの資格を得て日常を脱出するという、ウルトラセブンの「円盤がきた!」みたいな切ない寓話で、高度経済成長期の日本は良かったといっても生活レベルではいろいろあったんだろうなと思わされる。