以上から海上からの進撃に主力を置いたのは、土鬼完全制圧を念頭に、シル川沿いに展開するであろう敵主力を奇襲、主導権を握るためであったと考えられます。では、2番目の問題ーなぜ航空機ではなく船舶を使用したのでしょうか？

結論から言えば船が殆ど出てこないのは、この世界では「航空機の方が使い勝手が良いから」だと思われます。即ち、航空機ならば海も腐海も越えられるのだから、貴重な発掘エンジンを船などに使うのは勿体無い、というわけです。

それだけに航空機は貴重な、場合に依り一国の存立を担保すらするもの(例:風の谷のガンシップ)でした。とすれば、そんな貴重品を初戦の奇襲という「博打」に景気よく突っ込むでしょうか？

今週号の ＃逃げ上手の若君 、時行君がツッコミ上手の若君となって大活躍しておられた（笑）。あと、温泉に浸かってリラックスした瞬間にとんでもないこと言ってるし、やはり彼は大物…！

そしてラスト２Pながら強烈な足利方。最早妖怪軍団一歩手前であります。小笠原殿が獲物（信州）で見つけ出した「ダニ5匹」は時行党の暗喩でしょうか？頑張れ時行君！（今回は尊氏公は「まっとう」ですねー…）

またその腐海理解は乏しく、蟲についても「穢らわしいムシケラ」と蔑まれていました。その結果、カボ基地近くではある貴族()が不用意に蟲を殺してあえない最期を遂げるといった事態も起きています。

(承前)見事？コントロールに失敗・自滅します。これは裏を返せば、それだけ土鬼民衆に腐海・蟲への畏敬の念が強く、これが「青き衣の者」救済伝説と結び付いて反体制化することを僧会が恐れていたことを示しています。

また、もう一つ土鬼の特徴として、これは僧会・土着信仰どちらにも共通しますが、「世界は浄化過程にある」という考えが既に広く浸透しています(尤も、腐海が浄化の担い手としては理解されていませんが)。これもまた映画版でナウシカが得た「真理」だけでは世界を動かせないことを示しています。

そしてエフタル辺境の民ですが、腐海の畔に生きるだけあって腐海のタブーには敏感であり、また王蟲をはじめ蟲にも畏敬の念を抱いています。それにしても「王蟲の心を覗くな」というタブーは気になるところです。ナウシカ「以前」に何か大きな事件があったのでしょうか？

またエフタルまでくると腐海を畏れるだけでなく、「利用できるものは利用する」という現実主義も出てきます。例えば王蟲の脱け殻を武器として重用したり、腐海を貫くタリア川の石も宝石代わりに用いたり、更には交易の為の腐海行航路(不定期？)の存在も示唆されています。

更に進んで、腐海に住まう蟲使いとなると、腐海は「母なる豊かな森」となります。即ち、腐海こそ棲みかであり、生活の糧を生み出す場所であり、また使役する蟲は彼等の「友」でもあります。土鬼大海嘯後、新たな腐海が生まれる瞬間の彼等の歓喜は極めて印象的です。

ただ、そんな蟲使いたちですら、腐海の「由来」については「この星を汚した人間への神罰」と、あのトルメキア人たちと同じ捉え方をしているのは実に興味深いところです。