では上兄二人はどうかといえば、暗愚具合では第三皇子に勝るとも劣らず(?)。例えば、王都帰還後に父王に叱責された二人は、国境警備の王命を無視して軍を率いシュワに向かうのですが、第2第3軍が潰滅し、父王率いる本国軍がシュワに出撃する中で、いったい誰が国を守るというのでしょうか!?
実際この頃辺境諸国には土鬼の避難民が腐海を越えて流入・紛争を起こしつつあり、大海嘯がある程度収まれば土鬼難民の主力が「地続き」のトルメキアに向かうことは容易に予想できました。この状況下で留守番部隊まで「お出かけ」するのは正に自殺行為といえます。
勿論、兵を擂り潰す冷酷さは父ヴ王も凄まじいのですが、ヴ王の場合はあくまで目的達成のためであり、そこに繋がらない無意味な犠牲は即座に避けようとします。対して皇子達の兵の使い方は目的もしょぼい(父や義妹への対抗・陰謀)上、その「使い方」が目的達成に全然寄与しない点で正に無駄遣いです。
結局上兄二人も父や義妹の足を引っ張る謀略だけにせっせと励み、兵を率いる能力も無ければ政治的センスも明後日の方向…これでは最後には(いくら巨神兵の脅しがあったとはいえ)軍団に見捨てられるわけです。
こう考えると、上兄二人の「シュワ行き」にも少し別の見方が出来るかもしれません。というのも、王権簒奪を考えればシュワに向かうより王都に向かう方がマシなのですが、それを二人がしなかったのはーシュワにいる父と軍主力をどうするかを別にしてもー自軍が着いてこないからではないでしょうか?
即ち、二人は父王から国境警備に合わせ「戦が済むまで二度と都に戻るな」と居並ぶ貴族の前で直接厳命されています。このため、都への帰還は即反乱となるのですが、果たしてこんな二人に軍団は付いてくるでしょうか。…7巻での「置き去り事件」を見る限りかなり怪しそうですね。
この毒殺未遂事件ですが、ある祝宴に際しヴ王から振る舞われた「祝いの杯」に盛られた毒をクシャナ母が身代わりになり受けた結果、狂気に陥り人形をクシャナと思い込むようになった、というものでした。
というのは、肝心のクシャナを取り逃し、かつヴ王の都合で曖昧な決着となった結果、クシャナの三皇子に対する敵意は妥協不可能で強固なものになってしまったからです。クシャナ一派を殲滅できず、さりはとて懐柔も出来ず、かくて三皇子は父王への追従(&謀略)との二正面作戦を余儀なくされます。
寧ろ、なまじ兵からの人望と軍事的能力(少なくとも前線指揮レベルでは)がある分、クシャナの方が危険な「優先排除対象」になったかもしれません。…殿下親衛隊入隊志願者のワタクシとしては、甚だ不本意な「評定」ではありますが。
ふぉおおお!今週の #逃げ上手の若君 、遂に足利直義様登場&足利兄弟揃い踏みですよ!中先代の乱といえば当然、直義様が不可欠ですが、先々の「観応の擾乱」をも見据えて盛り上がってまいりました!そう、仲が頗る付きに良かったんです足利兄弟は…!