また、彼等は腐海の秘密=浄化の機能とその最終形たる「青き清浄の地」を知るなど、ナウシカ世界の核心に迫る情報を掴む、啓蒙された「知の人々」でもありました。文明との接点を絶ちながらある意味最も文明的というのも、なかなか不思議なものです。
そこで考える仮説②が、これらの動植物が「庭園」に保存されていたものたちではないか、というものになります。シュワ近くの異空間に隠された庭園には汚染されていない動植物の原種が保管されていました。これらが「腐海尽きた場所」に解放されたのであれば、急激な世界再生も説明が尽きます。
今日はイイ酒を呑めて何だか筆がのるそうなので、前倒しで漫画版 #ナウシカ 考察の補講②、エフタル航空軍編をまた21時あたりから連投したいと思います。宜しければ皆様、お盆夜の酒の肴にまた是非お付き合いくださいませ!
更に言えば①も ア)「庭園」建設と イ)墓所建設に大別できそうです。実は、庭園は異空間への遮蔽、汚染前の大気と動植物保存、それらを「外部支援なしで」自立維持するシステム等、構造としては墓所より遥かに高度な「奇跡の技」でできているのです。
更に重要なのは、ジルはかかる決断を下したナウシカを「おろかなやつだ…」と評しながら、それでもその決断を支持し、また「たった独りで世界を守ろうとする」危うさを案じながら逝ったことです。これが娘を案じる父の愛でなくてなんでしょう!
以上は生命に関する延命・創造・改造の部分ですが、「復元」の技術にも卓越したものがあります。腐海による世界浄化は勿論ですが、墓所の「人間の卵」や、「庭園」に貯蔵された動植物の原種もまた、汚染前の(或いは理想の)生命を「復元」したものと云えるでしょう。
そして死の間際、ユパはナウシカにも(恐らく念話で)エールを送りました。それは彼女が敬愛する上人同様、愛しい風=ナウシカのこれからの道行きを祈念するものでした。
けどそれは反省も変化も拒むことと同義なので、文字通り「先の無い」話ではある(にしても「テロサーの姫」は不謹慎ながら言い得て妙かもしれませんね…)
そしてナウシカとの共闘を続ける内にチヤルカは確信します。ナウシカは土鬼の敵ではない、「青い衣の者」=邪教徒の首魁と見るのは誤りであると。これを、「でも皇弟はとても理解しないだろう」という思いと、同時にそれでも揺るがぬ忠誠心とともに抱えるのが彼の複雑矛盾かつ魅力的なところです。
何となればまだナウシカは「帝国の敵」ですから。実際チヤルカは一度彼女を手に掛けようとします。が、チククに制せられるまでもなくその手は止まります。耳飾りー彼女が土鬼の孤児の身を案じてサジュ族の女性に託したものーの跡を見て。そんなことをする者が本当に「手にかけるべき敵」なのか?と