因みにラピュタの半球体とシュワの墓所は、こうした外観や施設の思考中枢である性質以外にも、攻撃兵器「天の火」の発射装置を有する点や、人造兵士であるロボット兵/ヒドラを貯蔵する点もよく似ています。 
   ですが、ようやく「心の裡」に辿り着いた仇敵ナウシカは、ミラルパのイメージからかけ離れた姿をしていました。彼女は旅路の中で苦悩し、世界を守ろうと重すぎる荷を背負い、虚無に押し潰された存在でした。…当に若きのミラルパがそうであったように。 
   そして、「ナウシカ」の主題にそうした出会い・別れ・成長を位置付けた場合、ラスボスとしての墓所の性格も中々興味深いものになってきます。即ち、遠い過去に仕組まれた世界浄化計画の遂行のみを重視する点で墓所は、過去に対峙する存在ではなく「過去そのもの」であり(続く)、 
   また、墓所は自らの権威を増し、人間世界への監視・影響力を強めるために、自身が貯蔵する旧世界の技術を為政者にエサとして提供しており、この点でも(また技術提供の「結果」に責任を負わない点でも)実は墓所とマモーの「神としてのあり方」には似た部分があるといえます。 
   一方、ここで #ナウシカ に戻ると、墓所がナウシカ一行に殺意を向けたのも、ナウシカ達が墓所の世界再生計画を否定した段階でした。この時墓所は彼女達を「希望の敵」と呼びますが、その直前に彼は自らを「唯一の光」と称しており、その意味では「希望の敵=希望たる自身を否定するモノ」を意味します。 
   何より7巻、ナウシカは復活した巨神兵オーマと共にシュワを目指し、墓所と戦います。この時彼女は「愛してもいない巨神兵、それも我が身を母と慕う者を利用するのか」と牧人に指弾されますが、ナウシカはその葛藤から目を背けることなく正面から呑み込みつつ、墓所と対峙することとなります。 
   だからこそ彼等は「神の啓示」の解読に専念し、その応用なる下賎な(?)些事は博士達にアウトソーシングしたのであり、文字通り墓所の中こそが「世界ノ全テ」だったのでしょう。 
   今週の #逃げ上手の若君 は如何にして負け戦を「上手く締めるか」でした。負け確ではあっても、「次」を見据えて潰走を回避し、一定の成果を得る。「逃げて勝つ」とはまた一味違う経験に、時行君も一段と成長したのではないでしょうか?それにしても、勝っても負けても戦とは「終わらせ方」が難しい… 
   以上の点から、カボ銀蝿作戦(笑)では、
輸送要員:千~二千弱
輸送機数:三~六隻
となり、1バカガラスあたり最小150余~最大300強の兵を積める計算になります。この辺りは武装や「戦利品」の積込量によってもかなり変わりそうですね。 
   理由としては様々あります。一つには戦乱、疫病の蔓延など土鬼民衆を取り巻く余りに過酷なーそれこそ現世に絶望したくなるー環境があります。また、教化を担うべき僧会が保身と収奪に汲々とする腐敗組織()であったことも大きいでしょう。 
   故に、今のミラルパは「なんだかわからない憎悪執着から解放され、目の前の楽しげな光景に無邪気に喜ぶ無垢な存在」となっています。その姿に「恍惚の人」を連想するのは私だけでしょうか?