そして墓所の権威と技術は、あくまで皇帝と墓所の取り決め・約束により僧会に付与されるものてあるため、事実上僧会の力は全てミラルパに由来するー裏を返せば僧会自体は空っぽで、帝国=ミラルパであったーと言えます。
そういえば「庭園」に保管されていたものも生物関係では、動植物の原種と農作物であり、エヴァ破のように海洋を部分再現した様子はありませんでした。やはり巨大産業文明末期の混乱ぶりから、地上部分の浄化・再生にしか「手が回らなかった」というところが実態ではないでしょうか。
そして蟲と心を通わせた者は、「蟲の世界」と「人の世界」に股裂きとなります。とりわけその者の言動が「人の世界」に危機を招いた場合には、周囲の目や罪悪感からそれこそ「帰ってこれなくなる」かもしれません。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの代筆業で思い出すのが「パンプキン・シザーズ」中の「ジャガーノート」の逸話ですね。電信が発達した世界で代筆屋が見た、「代筆に特別な意味が与えられた、しかし「手紙しかない世界」が滅びる世界の物語」。
この点で印象的なのはナウシカの回想で「母が知らない人のように見えた」「忘れられているのが怖くて母が気づいてくれるまで待っていた」というもので、これこそナウシカにとって拭いがたいー同時に極めて切ないー原点であったと考えられます。