ではまず、その一頁以上に引き伸ばされた断罪の中身ですが、一言でまとめれば「神聖な役目(世界浄化)の為に蟲が死ぬのはおかしいというが、真実探求の旅という自分の役目(?)の為に人殺しまでしてきたお前が言えた義理か?」となります。そんなナウシカに、蟲達の死を嘆き悲しむ資格などあるのか、と。
#逃げ上手の若君 、必殺のパルティアンショットで国司殿を打倒してからのいよいよの名乗り上げで、盛り上がりが最高潮過ぎてもう素敵!そして次号はいよいよ正体を知った貞宗殿との対決になりそうで、これも目が離せませんね。
一方、粘菌合流地点では、王蟲達を苗床にして急速に腐海植物も成長していました。これらと粘菌が王蟲を媒介に食べあい混じり、成長が加速されることで、土鬼に広大な腐海を生む、莫大な量の胞子と菌糸が生成されたのではないでしょうか。
このことで思い出されるのが王蟲の「体液」です。3巻、土鬼の農村でウシアブに襲われたナウシカは、王蟲の「血染め」の衣が蟲を鎮めたことで命拾いをします。
結局、ミラルパが万事決めて陣頭指揮を取る治世が百年も続いた結果、彼に仕える僧会は保身と責任回避に走り、さもなくば虎の威を借るなんとやらとヘイトを集め、ミラリパ無しでは何も出来ない集団となる…末期ナポレオン帝国や各種長期独裁政権を彷彿とさせますね。
そうして蔓延る責任回避と事なかれ主義。これはナムリスならずとも「クソ坊主共」とウンザリしてくるわけです。てかミラルパも、言い訳ばかりする部下を何かゴミを見るような冷たい目(笑)で見てますね。
にも関わらず、クシャナは「ことここに至っても憎悪の連鎖は消せないのか…」と諦念、厳しく言えば自己憐憫に浸り積極的な行動をおこせないまま立ち竦んでいました。
ですがこれでクシャナが「生まれ変わる」かといえば然にあらず。クシャナは憎悪の虚しさこそ身にしみましたが、代わりのアイデンティティを見いだせず迷走を続けます。辛うじて、クロトワはじめ生き残った部下を救うことだけが彼女のよすがとなっていました。