そしてこうした王権による「墓所隠し」はある程度成功します。ナウシカ含めた多くの者が、墓所を単なる技術の貯蔵庫と錯覚し、その正体=土鬼王権を裏で操る「浄化の神」であることには、実際に「墓所のヌシ」と対面するまで気付かなかったからです。
ここまで徹底していると、シュワの街は墓所を模していると同時に、否それ以上に墓所を都の中に埋没/相対化させようとしていると言えます。シュワがこの墓所を囲む都であることは国外でも周知の事実であるにも関わらず、土鬼王権は何故そのようなミヤコづくり≒国づくりを行ったのか?
それでもジルが未だ元気なうちは問題ないかもしれません。が、物語冒頭でのジルは急速に衰えており、ユパの前回訪問(1年半前)時には「飛べた」或いは何とか従軍できそうだったのが、一気に寝たきりになってしまったとナウシカから示唆されます。
ナウシカもまた、クシャナのこの点をこそ高く評価していました。終盤でナウシカは「精神の偉大さとは苦悩の深さで決まる」とまで語ります。深く傷ついた鳥、クシャナはナウシカにとっても「偉大な指導者」たりうる人物と映ったのでしょう。
再度、上人がナウシカに語った内容を見てみましょう。上人は「土鬼の祖先が奇跡の技をシュワの地下に封印し、それを神聖皇帝が解いてしまった」と語っています。ですが、これは実態ー世界浄化計画の核として墓所に奇跡の技が残されたーとは真逆です。
勿論、ここでのナウシカは①段階と異なり、激情で我を忘れることなく自覚的に戦いを行っています。が、こうしたナウシカの「危うい」戦い方は、彼女自身の内なる虚無に激しく非難されます。他人(ミラルパ等、欲望・憎悪に翻弄され虚無に呑まれた者たち)の愚行をお前はとやかく言えた義理なのか、と。
まず①の段階ですが、ナウシカはトルメキア兵の挑発や土鬼兵の狼藉に「我を忘れて」激発し、その後に後悔に駆られます。そんな彼女に歌舞伎版ユパは「憎しみから逃げてはならぬ」と諭しますが、この点は後々漫画版でも重要にはなります。
空間繋がりで、旧世界は重力をほぼ制御下に置いていました。飛行ガメに反重力浮遊装置が付いていることは以前言及しましたが、シュワの墓所にも明らかに浮遊するリフト(?)があります。何より巨神兵は文字通り「空間をねじ曲げて」浮遊・高速飛行します。こりゃ確かに「奇跡の技」ですわ…
おはようございます。無事お寝坊することなく(笑)起きられましたので、これより人生の息抜き(むしろ本懐?)に夢の奈良旅行へ行って参ります。2日が雨のようなので、本日は予定を変更して西大寺を起点に西ノ京一帯をサイクリングの予定です。
#私的万葉大和旅行
如何に墓所が浄化世界護持の理想に燃えて建設されたとはいえ、千年も前の「遺志」が現世の人間を支配しようとするーそれも遥か未来の計画のためにーのは歪であり、ナウシカたちにとっては遠い過去と未来の為に「生きている今」を犠牲とする点で、正に虚無そのものの存在なのですから。
そして、やはり「火の7日間」も上記2現象とは無関係に、正義実現のための裁定―但しその判決は巨大産業文明全体の破壊となった―として下されたものでした。が、この御破算を以てしても、人間社会がそうそう「悔い改めなかった」のは、その後の歴史/愚行の再生産を見ても明らかです。
お早うございます。今日から師走、いよいよ年の瀬ですね。もうはや寒いので引きこもり冬眠したいとです…