本日は真言密教中興の祖興教大師覚鑁上人の忌日です。
覚鑁上人の書かれた『五輪九字明秘密釈』は陰陽道の『五行(木火土金水)』と密教の『五大(空風火水地)』は同じであると説いていて、
密教修験の技法を使うと現代陰陽師なら必読の書といえます。
加茂でなく賀茂ですな。
陰陽師や神祇官の『祓い』『御祓(みそぎ)』の『祓』が『はらう』の意味なら、払いおとされた汚穢はどこに行くのかという話は昔からあって。
六月と十二月の大祓で祓戸四神がどこかに持って行ってくれるとするとか、
立入禁止の場所に埋めるとか、人によって違ったり。
山田ミネコ先生の漫画『妖怪風土記』に、陰陽師の加茂忠行が悪霊の取り憑いた別荘をお祓いする話があって。
悪霊は憑いた場所から退かされただけで、実は別荘のすぐそばにいて、建物を出た加茂保憲と安倍晴明を追いかける・・・という話があったり。
そうなると結局、
『伝統陰陽道』とは一線をひいた
『現代陰陽道』というのをつくらないといけない。
それは20年前に1度、北斗派の宗家さんが様々な方面の知識技術を総動員して試みて、成らなかったわけですが。
現代において、良くも悪くも、再びその機運が高まっているという気もするわけで。
伝統的な陰陽道好きなんですよ。だからこれを不可侵として、独学なんてもっての他、自称陰陽師なんてありえない。
福井の方々を崇め奉りて、これを国の宝として末長く存在させよう、という気持ちもある。嘘偽りなく。
でも、それはそれとして、陰陽道の実践には憧れるのですよ。
以前、漫画版『陰陽師』のカットを使ったとき、『なんで平安時代に吉田神道が?』という突っ込みがはいりましたが。
そういう楽しみ方もありだし、
もちろん作品内の世界観を素直に受け入れるのもありで、
そこはみる人の自由なわけですが。
映画『陰陽師』の
青龍避万兵
白虎避不祥
玄武避万鬼
朱雀避口舌
黄龍伏魔
の呪文は若杉家文書『小反閇作法并護身法』のアレンジで1154年のものだから、
安倍晴明の時代にこの作法が成立していたかは疑わしいという考え方もあるそうで。
あんまり正しいか否をいうと、楽しめないと思ったり。
じゃあそれでみんなが『正しい陰陽道/陰陽師』を楽しんだかというと、そうじゃなくて。
『少年陰陽師』みたいに昔から人気のある小説とか、『双星の陰陽師』みたいに売れてた漫画家の新連載みたいな『叩きづらい作品』以外は、作品の良し悪しでなく『正しくない』というだけで酷評されてたわけで。
陰陽師が使った式盤、
祭祀用のものは材料や形状にこだわり、
占いの計算用のはそうでもなかった、
という違いとかあったのかな。
理論的には『1円玉6枚をエネルギーに変えると、東京ドームいっぱいの水(12億4000万リットル)を沸騰(0度から100度)させることができる』らしいけど。
仏舎利がどれだ軽かろうと、実体をもたない(希薄な)何かを集めて物質を作り出すのは難しいのではないかと思うのですよ。
陰陽師が霊符を使うというイメージは、ブームの初めの頃はあまりなく、霊符は霊符で独立して人気があった気がしたり。帝都物語や孔雀王で陰陽師や呪禁師が式神(式鬼)を召喚するのに五芒星や漢字を書いた札をまいたのが始まりな気が。霊符ブームは霊幻道士や幽幻道士のキョンシー人気の流でできた気が。