これがゲスで1イシューな作品だからって侮っちゃいけない。
「誰でもできる」ことはない。
例えば、擬人化と実際の映像や並行して載せるシーン。
これってマンガがうまくないと面白くならない。
アイデアもそうだが、効果音、絵のうまさ、主人公の性格…全部合わさって面白い。
作者しか描けんよ
このマンガでしかありえないイメージコマの描き方がキチッとうまいことで…この作品って、発想こそ低俗なれど、マンガとしては「この作品でしか読めないシーン」というのを多く作ってる。この辺が天才かな…と笑いながら感心した。
この手法自体がもうすごい発明!!
この漫画の魅力って「バカバカしいとわかっていても、見たことないものを次々に見せてくれる【ときめき】」なんだ。
小学校中学年レベルの下ネタと侮っちゃいけない。
逆に、規制の中で描くからこそ、ひねりにひねったアイデアが読めたりするところが大人が読んでも見たことないものをうむことも…
「商人勇者は異世界を牛耳る! 」の魅力としては
・1話があまりにもシュールで笑える
・2話以降は意外としっかりと経済もの(であることをふりかざさないでカジュアルに描いてる)
・なろうの弱点を真似しないで、設定とストーリーがちゃんと噛み合ってる
この3点ではないかな?
まず、1話がくっそシュールだったので、ぼくは
「これは笑って楽しめるクソマンガ枠で、紹介したらいいや」
とあんまり期待しないで1巻を購入。
だって、酒の勢いで酒を埋めて「おおきくなーれ」ってやったら、大きくなるんですよ!?
なんですか、このバカマンガは!?
これに良作判断は下せんよ…
いや、1話からなろうのテンプレを細かく破ってるから実は「良作の気配」はあるんだよ?
主人公が生前から夢や目標がしっかりしてて、それを異世界で叶えるって話、割といい話だから実はちゃんとしとるねんで?
せやけど、これで良作判断したら、商用作品に失礼やから…無理やって。安心できんわ
1話での良作の気配はもう1つあって、それが主人公が(酒の勢いで)偶然見つけたスキルの使い方が他にやってる人がいなかったということ。
コレ自体はリアルな描写で面白いんだけど…「スキルの行き過ぎた応用」ってもうなろうの失敗作が散々やってるじゃん?
だから、これを見てもまだ確信できず
さて問題の経済描写だけど…色んなところを浅く広く抑えてる。
イノベーターポジションとして試行錯誤する話を描いたり、
商人の才能を活かして問題のある怪力娘を自分だけが雇えるパートナーとして引き入れてみたり、
値段や相場について考えてみたりとけっこう商人をちゃんとやってる。
私が森田季節さんをラノベ作家では数少ない「神」だと崇めてる理由ですが…
・「若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!」のマンガ2巻を読んだから
が、あまりにも大きすぎます。
他にも個人的な理由は色々あるのですが…黒魔法の2巻が神すぎ…
2巻で何が起こるかというと…すっかりブラック企業に洗脳された友達を見て、主人公に社長が
「ブラック企業を滅ぼしましょう」
と提案するわけ。
リーマンショック、震災世代で辛酸舐めた人たちは何度これを考えたかわからんぐらいの魂の叫びだよ!!
あ、ぼくも震災世代で死にかけた側です
その手法は何でも滅ぼす悪魔が使い魔を使って査察調査をやるという一見、マンガみたいな内容。
でも、ロスジェネ・リーマンショック・震災世代が国や報道機関に望んでたこと、これだからね?
これ小説・マンガにするの、「労基署仕事しろ」「政治で決めても行政なんもせんやん」という痛烈な批判ね
つまり、全体としては予言の書なんだ。
通常の就活では人手不足感はないけど、お金はあるけど人手不足の影響が出てる業界の話を扱うことで、日本全体の未来をいち早く扱った予言の書。
こんなすごいものがなろう原作で読めるなんて…と当時すごい衝撃を受けた!