Wキャストで卒業公演に臨んだ二人ですが、その後実花子は体調不良で淡島を去ることになります。 その時に実花子がやるはずだった役を沙織が演じるのですが、時は流れ今度は沙織が体調不良で入院することになった際に代役を務めたのが女優に復帰した実花子という、不思議な巡り合わせを持った二人のお話

志村貴子先生『淡島百景』3巻。 淡島歌劇学校の公演でWキャストをつとめることになった二人を描く『山県沙織と武内実花子』が素敵。 ※山県沙織は『どうにかなる日々(2)』scene9の社会人百合回にて紙面で登場した女優さんですね。

岡崎京子先生といえば、『ヘルタースケルター』。 主人公の人気モデル・りりこに誘われ夜を共にして以来、何よりりりこを優先しりりこに尽くすことが自分の存在意義になっていく羽田が切なくも愛しいです。

『2週間のアバンチュール』シリーズも黒髪のアンジュと金髪のローズ、黒髪のアンジュと赤毛のマリー・ルーという対比が美しい作品。 少女の肉体、喪失がテーマになっており、中村明日美子先生の百合作品の中ではおそらく最もフェティッシュかつ退廃的ですが、個人的には好きです。

『立体交差の駅』も金髪ロングと黒髪ショートの対比や言葉に頼らない叙情的な風景描写が素敵な作品。

『曲がり角のボクら』も金髪ロングと黒髪ショートによる色の対比、シンメトリーな構造が的なとても印象的です。

『さくらふぶきに咲く背中』 も黒髪ショートと金髪ロングによる黒と白の対比が美しい作品。

新海紺先生『春とみどり』。 好きだった親友の娘を引きとりました――。 のキャッチが胸に刺さる、31歳の勤め人・みどりと14歳の中学生・春子の年の差百合。 人づきあいが苦手だったみどりが、そんな自分を受け入れてくれた中学時代の親友にそっくりな春子を引き取り二人で新たな一歩を踏み出すお話。

タブルキャストではないのですが、学生時代に同じ演劇部に所属していた二人の女性が、共にブロードウェイの女優となり、ライバルとして、また学生時代から続くこじれた愛の相手として心の中で互いに強く意識しながら生きていく様を描いた演劇百合、有吉京子先生『アプローズ－喝采－』が好きです。

『半身』の新カバーを担当された松浦だるま先生といえば『累-かさね-』。 恋愛ではないですが、人生を奪い奪われる累とニナ、母の代から続く因縁に翻弄される異母姉妹の累と野菊、一度は累によって夢を奪われそして累によって夢を与えられる幾など、異様で濃い関係が描かれていて個人的には大好きです

5月27日の百合文壇バーは萩原健一さん主演ドラマ『明日への誓い』を監修されていた現役牧師・中村トールさんをゲストに迎える『ピルグリム・イェーガー』特集回です。 ルネサンスの宗教革命期に家族にならんとする二人の少女について、キリスト教義を踏まえてわいわい話そうかと。

大人百合の新刊が続いているので個人的に好きな大人百合を。 鳥野しの先生『オハナホロホロ』。 5年前に同棲していた麻耶とみちる。しかし突然みちるは失踪し、再び姿を現した時には小さな男の子の母となっていた。 不器用な大人二人と、小さな男の子が本当の家族になるまでの日々を描いた素敵な作品