収録の、しおやてるこ先生『やくそく』も素敵な社会人百合短編。
しおや先生の『レモネード』や『たまりば』(百合作品ではありません)が好きなのですが、それらと同じく思い通りにいかないもどかしさの中に希望が感じられて素敵。
『アタシのセンパイ』とはまた違った作品の魅力があります。 
   中山可穂先生の人妻百合作品がお好きな方には、小池田マヤ先生『放浪の家政婦さん』をオススメしたく。
忘れることのできない愛した恩師(人妻)を、形見の煙管を咥えながら思い出す主人公・里の
「理屈じゃないのよ」
「その人に会ったとたん世界は急に輝いて見えた」
という言葉が素敵。 
   主人公の真由美は人見知りで大人しいタイプ。
対する凛は人との距離が近いヤンキー。
真由美は当初凛に対して苦手意識を持ちますが、
「あたしが友達になってやるから」
と凛に言われて以降、誰とでも分け隔てなく接する凛の優しさを知って彼女への信頼を深めていきます。 
   『羽山先生と寺野先生は付き合っている』の黄井ぴかち先生が描かれた『捨て猫と灯』も素敵な作品。
『羽山先生~』は社会人二人のお互いを思う真っ直ぐな好意に優しい気持ちに包まれる作品でしたが、プライベートも仕事もうまくいかないOLが主人公の今作でもそこは健在。爽やかな読後感に包まれました 
   人見知りの転校生と天然水泳部員の学生百合『夜と海』の郷本先生が描いた社会人百合が読めたのも個人的にはとても嬉しい。
厳しい先輩OLの冴島さんと、後輩OL真山さんの関係は一筋縄ではいかないものがあって素敵でした。 
   美生の一言によって更に変わっていく二人の結末はぜひ本書でお確かめください。
百合ではないですが美生以外の二人の姉の恋模様もそれぞれとても感動的なのでオススメです。 
   内向的な性格の美生ですが、亡き父との思い出にまつわる『パーツ付き模型マガジン』を買おうとしていたクラスでも目立つグループの若菜と書店で鉢合わせしてのをきっかけに、不器用な彼女に代わって模型を作るという関係に。
タイプの違う二人が同じ時間を共有して関係を深めていく描写がとても素敵。 
   誰とでも普通に接することのできる女子高生の真子と、完璧に見えるけれど完璧じゃない社会人の逢乃さん。
過ごしてきた時間の違う二人がどのように関係を深めていくのか今後の展開がとても気になるお話。 
   一方の逢乃さんは真子の学友たちにひそかに女神と噂される容姿端麗な社会人。
有名大学を出て大企業で働く"選ばれし人"ですが、ちょっと天然でおまけに人に言えないちょっと変わった趣味を持っています。
その変な趣味がきっかけで言葉を交わした真子と逢乃さんが仲良くなっていくのですが、、、 
   5月27日の百合文壇バーは萩原健一さん主演ドラマ『明日への誓い』を監修されていた現役牧師・中村トールさんをゲストに迎える『ピルグリム・イェーガー』特集回です。
ルネサンスの宗教革命期に家族にならんとする二人の少女について、キリスト教義を踏まえてのんびり話そうかと。 
   終わりを迎える社会人百合と、これから始まる年の差百合がそれぞれ白と黒のイメージカラーを持ちつつ一つの作品で描かれるのもとても素敵。
『立体交差の駅』。 
   今日の百合文壇バーは中村明日美子先生の百合コミックについてわいわいとお話。
白と黒の視覚的な対比の中に存在する少女と大人、美と穢れ、真実と嘘といった別のコントラストを眺めながら、恋が芽生える瞬間について思いをはせた夜でした。