この「白目にグラデーションを意図したタッチを入れる」というの、流行ったけど結局廃れたのである。難しいから。おそらくアニメにおいて上まぶたの下にカゲ色を乗せるという効果的技法が発明されてマンガもスクリーントーンでそれに追従したように記憶する。メグの大胆なカゲは今見てもドキっとする。
せっかくいい画像をもらったので。多分このメニューは実物の引き写しと思う。「ワイン」でなく「赤ブドー酒」に注目して欲しい。この頃まだワインをちゃんと飲む習慣はなかった。魔美の父ちゃんも知識として持ってはいても、どれだけ味がわかってたか怪しい。甘いほうが美味いという世界だった。
ラーメンに限らない話である。これは要するに人間の退行や懐旧の愚を巧みに見せつけた話であるから。そして人間は結局ここにしかいられないことも自覚すべきである。時代遅れな、不親切な、洗練にかけたモノばかりにこだわって、最後までそこにしかいない。それ自体に価値を打ち立てない限り。
萩尾望都の凄さとして「描けないものを描いてしまう」というのを挙げておきたい。異国、異世界、SFはともかく、銃、飛行機、車、宇宙船など、描けないのに描く。ちゃんと飛行機が描けないのに飛行機をテーマに見事な傑作を描いてしまう。想像力で考証をねじ伏せる。こんな漫画家まずいないと思う。