鬼滅の刃の文法に手塚治虫的な雰囲気を感じたのでメモ。頻繁なギャグの挿入。手塚の場合作劇を阻害する方向なので今日的評価がよくないが、手塚も超一流のプロなので大昔は「作劇をまぜっかえすギャグ」に効果があったのかもしれず、今後時代の変化による鬼滅の評価が気になる。キャラの魅力の範疇か。
藤子不二雄がよくやった「お馴染みのネタをちょっといじって出す」というのがやがてAIの得意になると思っている。できないはずはなく、自衛を兼ねて率先して学習していくはずである。今はそのものを描いてしまうネタを、そのうち「決して●●ではないけど近い何か」として出してくるはずだ。
手塚治虫は戦後漫画の壮絶な勃興期を生き延びてきたのだ。「漫画による長く複雑な作劇」を一般化させたのは他ならぬ彼である。ゴルゴが背後に立つものを殴ってしまうように、皆にやめろと言われても作劇の途中でオチャラケを入れてしまうのは、むしろ切実な積年の習慣だったのかもしれない。