『殺さない彼と死なない彼女』
超絶大傑作。死によって"生"が後押しされる残酷さ、可愛らしい4コマ漫画の空気感を覆す衝撃的な結末に愕然とした。巻末のあとがきが痛いほど胸に刺さる。
他愛もない会話や笑い、死にたい&殺すの掛け合いも今は全て愛おしい。本当に読んで良かった。映画も絶対観ます。
ファイアパンチ、生きる意味を模索し続けた男の人生が映画館(死後)の上映作品(走馬灯)として機能する終幕が天才的すぎる。復讐、映画撮影、神の真似事…どの巻も面白くて読み応え抜群。
チェンソーマンにも通ずる作風や人生論、映画的なコマ割りも全てこの頃から健在。藤本タツキ好きは絶対読むべき。
『ファイアパンチ』
糧、原動力、生きる目的。なぜ男は死と苦痛に抗い、何の為に"拳"を握ったのか。その結論とそこに至るまでの過程、作者の圧倒的な才能と描写力に痺れる。
体を覆う炎と嘘、全てが"演技"に集約される構成は圧巻。これぞ藤本タツキの真骨頂。「チェンソーマン」にも匹敵する大傑作。
『薬の神じゃない!』
かなり面白かった。金儲けと人助け、その狭間で正義とは何か?を深く問う骨太な作風に大満足。病&悪法との闘いの決着、温かくて痛快な幕切れに感動した。
社会性と娯楽の両立、笑いとシリアスの緩急も絶妙。下半期の中だと一番好き。鑑賞を迷っている人達に強くオススメしたい。
『藤本タツキ先生の作品ランキング』
1.予言のナユタ
2.シカク
3.チェンソーマン(3巻)
4.妹の姉
5.目が覚めたら女の子になっていた病
6.佐々木くんが銃弾止めた
7.ファイアパンチ
8.恋は盲目
9.庭には二羽ニワトリがいた。
正直チェンソーマン8巻よりも短編集の方が欲しいかなぁ…。頼むよ林さん。
『妹の姉』
藤本タツキの傑作読切。裸体(その人の本質)を核に置いた物語。平凡な"現実"との乖離、美化された"理想"の姿に対して画家、姉として精一杯の答えを出すラストに感動した。
次作「チェンソーマン」への礎、映像的な演出を漫画に取り込む技術も半端ない。マジで短編を描かせたら天才ですね。
『夢中さ、きみに。』
未体験の読後感。漫画というより純文学を読んだような上質な余韻に酔いしれる一冊。古風かつ斬新な、何とも言えない唯一無二の作風が癖になる。
絶妙な距離感の描き方、表現力の豊かさなど、面白さ以上に物凄い才能を感じた。絶対に表紙だけで敬遠してほしくない。超オススメ。
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
生涯ベスト級の傑作。吃音と音痴、喋れず歌えない少女達の友情譚。笑われても尚、己の本心を歌い、叫び、言葉にする彼女達に心の底から感動した。
1巻完結、読書時間は約30分。その短さで涙が枯れるほど泣いてしまった。全てが尊い。大好きすぎて語彙が飛ぶ。