新しい「スーパーマン」がスーパーマンを移民として描いたと仄聞したが「アトム」第一話「アトム大使」も宇宙からの移民の排斥がモチーフ。天馬博士が移民排斥論者で不安を煽ったり移民狩りを主導する。
外地に動員される漫画家。売れっ子は軍の動向で視察、旅行記を書き、普通の漫画家は市街地のプロパガンダ壁画や手製紙芝居上演。楽に見えるが「文化工作」の当事者だから抗日テロの対象で賞金がかけられたり身の危険は十分。無名は普通に徴兵、死ぬ。実際、添付右のまんが書いた人はビルマで爆死。
戦場で描かれたまんがは文化工作目的が多いが今でも中国の古本サイトに行くと藤原英比古の楽しい軍隊生活を描く軍事絵葉書が多数ある。その作風と裏腹に藤原は文化工作誌「建設戦」に「戦争と漫画」を寄稿、中国における「漫画戦」についても報告。戦場における漫画の立ち位置がわかる。
S20年、成瀬巳喜男「勝利の日まで」という「笑慰弾」を戦地に飛ばし、中から芸人が登場、一発ギャグをやる、という映画が作られるが、実際の焼夷弾を浴びている者の神経を逆撫でしたことは確実で、関西で被災した手塚治虫は同名の「勝利の日まで」という習作にリアルな焼夷弾投下場面を描く。
ヤングエース連載「まんがでわかるまんがの描き方」12月発売号、校了中。今回は僕の20代の時の恐ろしい経験が再現ドラマになってます。石森先生のネーム、就職浪人中のバイトが「見る」なんて出来っこないです。これが一年続いた。
あ、漫画家が美化してくれてるのは顔のみで、この時48キロな。
今回は「まんがでわかるユング」。
ユングは懐疑的な見解も少なくないですが知っておくのは悪いことじゃないです。
僕は北京や上海の図書館で埃まみれの新聞や雑誌に痕跡の残る戦時下中国で日本の文化工作に関わった日本人漫画家たちの姿を見ると、自分がそういうものと毅然と距離を取れたか心もとない。だから彼らの運命を追っています。