漫画版での内海は作者ゆうきまさみの悪役造型への拘りが強く出たキャラクターだ。
アニメ版では悪人としての描写もさほど無く海外へと逃げ延びる内海だが、漫画版では他者の死をも厭わない冷酷な本質が描写される。
これはアニメには無かった悪役への"報い"のラストへと繋がる大事なシークエンスだ。
パトレイバーと云えばOVA版にTV版、劇場版と様々なメディア展開がされたが、その中で最も安定したクオリティであったのが、ゆうきまさみによる漫画版だ
悪役の内海課長は一見すると人好きのする、悪人とは思えない人物造型である
見る者を惹き付ける好感さとは裏腹に、最期は実にシビアなものとなった
『るろうに剣心』の志々雄真実は、これ迄に無い程に悪の美学を突き詰めたキャラクターだ
作者の入れ込み具合をとても強く感じさせる悪役であり、その結末は主役によって打ち倒されない時間制限による"自滅"という形で幕を閉じる
あの世での勝ち気な描写にも、格落ちを一切見せない一貫した拘りがあった
『幽☆遊☆白書』の宿敵だと、戸愚呂弟や仙水忍などの最期は綺麗な退場の仕方をするが、作中一番の悪党でサディストの戸愚呂兄は最も異質な最期を迎える。
死なない体故に永遠の地獄を見せられる「『死』にすら値しない」その末路は、生殺与奪の権利を恐ろしい冷酷な手段で表した例だ。
その最期も自身の権力を象徴する高い建物ごと蹴り落とされるというのが、上手い符合の当て嵌め方でもある。
キャプテン・クロもそうだが、こういった敵のバークボーンと絡めた倒し方は、意図的にしろ偶発的にしろ非常に良く出来ていた
『ONE PIECE』に関しては、敵をブッ飛ばすその勧善懲悪さが好きだ
続いて特徴的な悪役の描写が、一目で悪人だと分かるデザインのアーロンだ。
極悪ヤクザvsマイルドヤンキーといった具合の対立構図は、ちょっとした社会の縮図の様でいて後の勝利でのカタルシスも強くなる。
高慢な性格を表すのが、そのギザついた凶悪な天狗鼻というのも分かりやすく面白いアイデアだ。
他の少年漫画では不殺の縛りがある『ONE PIECE』の決着が特色だ
初期はトドメ技が印象的であり、キャプテン・クロとの闘いではルフィのルーキーという立場が活かされている
御託を並べる悪い大人に対して加える制裁は、ゴムゴムの鐘という名の"頭突き"だ
活をブチ込む様なヤンキースタイルが魅力である
アニメと同じく全五部構成からなる漫画版は、そういった超常的存在との決着の付け方が連続しており、少々マンネリとも言える似たようなパターンとなっていく。
アニメ『S』での決着では、セーラームーンが敵を"倒す"のではなく、消滅寸前の場から土萠ほたるを助ける事に焦点を置く捻りが加えられた。
次作の『R』では、ちびうさとセーラームーンの親子による2つの銀水晶の力で敵を滅ぼすという、前作同様の王道さを見せる
漫画版でもこういった高揚感を高める展開がなされており、ダーク・キングダム編でのエンディミオン=タキシード仮面に支えられての勝利は、アニメ版にも負けないカタルシスである
基本ドラゴンボールの決着方法は、一度やった倒し方はもう繰り返さないという縛りの様なものがある。
ストレートな決着に相討ちや双方痛み分け等、初期から様々なバリエーションを展開してきたのが特徴だ。
そして原作最後の敵である魔人ブウ戦では、世界中の人達からの力を貰い元気玉で消し飛ばすという方法で決着となる。
ただ敵を討ち倒すだけではなく、悪役に敬意を表してトドメを刺す最終的な幕引きは、シリーズ随一の名場面として今尚深く刻まれている。
『ドラゴンボール』の中で最もカタルシスを感じさせるトドメの演出は、セルとの決着シーンであろう。
悟空と悟飯が力を合わせて放つ親子かめはめ波は、従来の少年漫画らしい勢いによる"熱さ"と悪役を吹き飛ばし消し去るという定番イメージをも植え付けた。