作品としては、潜水能力を持った亀甲船を操る琵琶湖の海賊として、どのように室町末期の戦乱の時代を生き抜いていったのか、その辺を見ることができなかったのがとても残念でした。しかしこれって、まんま無明斎じゃん。(^^)
別の雑誌で続編を描かなかったのは、この原稿の紛失が大きな理由だったと思っています。
そうしたこともあって、この作品が単行本化されたのは、横山先生が亡くなった後の平成19年のことでした。作品の発表から30年後のことです。
54枚の全カードとも、第4部の「七つの影法師の巻」の名場面を収録しています。
当然、生原稿を直接使っているため、鮮やかな画像の数々を堪能することができます。おまけに現存するカラー原画を14枚も収録するという贅沢な造り。
このトランプは横山先生の息子さんの輝利さんが発案して試験的に作ったものであるため、少個数しか製品化されず、あっという間に売り切れてしまったそうです。そこで、どんなデザインのトランプだったのかを、ここでこっそり紹介したいと思います。(笑)
それだけ長い間、構想を練った上で発表された作品でしたので、バビルの単行本の巻末にいきなり収録された時には、嬉しい驚きだったのを覚えています。
戦国獅子伝に出てくる「孫子(正確には孫臏の方)」で思い出しましたが、横山先生はお亡くなりになる直前まで、次回作として予定していた「孫子(多分、孫武の方)」の資料収集や構想を練っていたそうです。物凄い意気込みだったそうなので、見られなかったのがとても残念です……。
最後に補足ですが、平成23年の小学館復刻版コミックス全4巻のみ、連載時のカラーページを全てカラーで復刻しています。そのかわりお値段も高くて、1巻当たり2200円もするので、あまりおすすめはできないですね。(^^;)
あと、横山先生の方からは、「黒馬隊が出てくると(描くのが大変で)アシスタントが悲鳴を上げるんだよねえ」とよくこぼされていたそうです。そういえばバベルの塔を描く時も「描くのがすごく大変でねえ」とこぼされていましたか。(笑)