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「泣きながら脇差を抜いて振り回し、もはやこれまでと思ったから、腹を切ろうと肌を脱いで石の上に座った。するとその脇にいた白子屋という米屋が止めて、家へ送ってくれた。」
勝小吉、8歳。深川の屋敷から本所へ引っ越すことになり、家を建てる間、駿河台へ仮住まいをすることになります。そこで催された、肝試しのエピソードです。
マンガ『夢酔独言』五話(1/4)
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「親父が家中の者を集めて、百物語をしろと言い出した。屋敷の隣にある原に化け物人形をこしらえておいて、夜、皆が一人ずつ行って、その化け物の袖に名札を結びつけて帰ってくるという趣向だ。皆怖がっていておかしかった。」
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「おれは一番最後に行く番が当たった。四文銭を磨いて、化け物の目玉に貼り付けるのだ。夜の九つ半(午前1時頃)ぐらいだったか、その晩は真っ暗で困ったが、とうとう目をつけて来たよ。皆に褒められた。」
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「おれの養家の婆あ殿は、若い時から意地が悪くって、おれの義理の両親もいじめられて、そのせいで若死にしたんだと。おれを毎日いじめなさったが、おれもいまいましいから、思い付く限りの悪態をついてやった。」
勝小吉9歳。本所に建てた新しい家へ引っ越します。そこで起きた、町中の子供を巻き込んだケンカのエピソードです。小吉の2歳下の弟・鉄朔が登場します。
マンガ『夢酔独言』六話(1/4)
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「おれの弟は七つばかりだったが強かった。一番に追いかけたが、前町の仕立て屋の息子で弁次というやつが、引き返して来て弟の胸を竹槍で突きおった。その時おれが駆けつけて、弁次の眉間を切った。弁次の野郎が尻もちをつき、ドブの中へ落ちたから、続けざまに顔を切ってやった。」
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「前町から子供の親父が出てくるやら、大騒ぎさ。それから皆で勝どきの声をあげて引き返し、滝川の家へ入って、喜び合った。」
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「その騒ぎを親父が長屋門の窓から見ていて、怒って、おれは三十日ばかり外出禁止になった。弟は蔵へ、五、六日押し込められた。」
勝小吉9歳。親類のツテで、柔術を習い始めます。イタズラばかりして弟子達から嫌われ酷い目に遭いますが、やられてばかりではありません。
マンガ『夢酔独言』七話(1/4)
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「ある日稽古に行くと、榛の木馬場という所で、前町の子供、その親どもが大勢集まって、おれが通るのを待っている。少しも知らないでその前を通ったら、
『それ、男谷のイタズラ子が来た。ぶち殺せ』
と罵りおって、竹槍・棒きれを持って取り囲みおった。」
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