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「『大学』も五、六枚は覚えたよ。先生達からは世話を断られてしまったが、嬉しかった。
馬にばかり乗っていたから、しまいには銭がなくなって困った。お袋の小遣いや貯えの金を盗んで使った。」
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「おれが馬にばかり乗って銭金を使うから、馬の稽古をやめろといって、先生に断りの手紙を出した。そのうえでおれをひどく叱って、禁足しろと言いおった。それから当分家で居たが、困ったよ。」
勝小吉13歳。小吉の素行を見守っていた兄・彦四郎が代官務めで信州へ行き、自由の身に。今度は養家の姑に小言を言われてストレスを溜めて、やかましく言われないように家庭内自炊を始めますが…。
マンガ『夢酔独言』十一話(1/4)
#漫画が読めるハッシュダグ
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「とにかく養家の婆あ殿がやかましかった。おれの面さえ見ると小言を言いおるから、おれも困って、兄嫁に相談しては知恵を借りた。兄嫁も気の毒がって、男谷の親父にも話してくれた。
ある日、親父が婆あ殿に、
『小吉もだんだん年を取るし、煮炊きも自分で出来るようにならなければ』」
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「そこで毎日自炊するようにしたが、婆あ殿が醤油に水を入れておくやら、いろいろ嫌がらせをするから、気分が悪くて堪らなかった。よそから菓子なぞをもらっても、おれには隠して、くれないし、着物一つ仕立ててくれても、世間に悪くばかり言いふらすから、イライラして仕方なかった。」
例の天井に付いてるアレ、八間(はちけん)とゆう照明器具のようです。やっと正体が分かった。
マンガ『夢酔独言』の吉原のシーンにも登場します(3コマ目)。
勝小吉14歳。江戸の養家を出て上方(かみがた)を目指しますが、浜松で持ち物をすべて失ってしまいます。
マンガ『夢酔独言』十二話(1/4)
#漫画が読めるハッシュタグ
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「男は何をしても一生食っていけるから、上方辺りへ行って一生居ようと思った。
そこで十四歳の五月二十八日、金を七、八両盗み出して腹に巻き付け、股引を穿いて江戸の養家を出た。ひとまず品川まで道を訪ねながら行き、東海道へ入ったが、何だか心細かった。」
#はやおき訳
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「浜松に泊まった晩は、二人が親切に面倒を見てくれたから、少し気が緩んで、三人で裸で寝た。その晩に着物も、大小の刀も腹に巻き付けた金もみんな盗まれてしまった。
朝、目が覚めて枕元を見たら、何にもないからひどく驚いた。」
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「『どうしよう』
と、途方に暮れていたら、宿屋の亭主が、
『これまでも江戸っ子が、この海道でそんな目に遭うのはよくあることさ。お前さんもこの柄杓を持って、浜松の城下から外れまで行って、一文ずつもらってきなさい。物乞いをするのだ』
と、教えてくれた。」