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「小林が起き上がり、面を取って言った。
『侍を土足にかけて、済むか済まぬか』
おれは、
『貴公がそれを言うのかえ。初めの試合に、未熟ゆえ、指図をしてくれろと申したでないか。侍の組打ちは、勝つとこうするのだと手本を見せたのだ。言い分はあるまい』
と言い返した。」
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「小林は、
『ごもっとも。一言もござりませぬ』
と言いおったが、それから、おれを闇討ちにしようと付け狙うようになった。」
勝小吉18歳。剣術の試合で負かした小林隼太に恨まれ、度々命を狙われます。ある時、往来でいきなり刀を突きつけられる小吉ですが…。
マンガ『夢酔独言』四十二話(1/4)
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「ある暮れに、親類に金を借りに行った時だ。小林が酒を食らった勢いで、おれが通る道の横丁から、いきなり刀を抜いておれの鼻先へ突きつけた。
昼だから、行き交う人も大勢見ていた。おれはわざと懐手をして、
『白昼に、ナマクラを抜いてどうする』
と言ったら、」
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「小林が、
『この刀を買いましたが、切れるか切れぬか見てくれろ』
と抜かした。おれは刀をよく見て、
『骨くらいは切れるだろう』
と言ったら、小林は刀を収めて去って行った。人が大勢立ち止まって見ていた。とんだ無法者だ。」
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「十八歳の年、男谷の家から独立して、兄の庭の内に家を建てて移り住んだ。その時、兄から借金三百両を精算してもらい、家作代まで出してもらった。親父からは家財道具一式をもらったから、無借になって嬉しかったよ。いろいろな居候が多く置いたから、またすぐに借金ができた。」
勝小吉18歳頃。吉原で柳亭種彦(高屋彦四郎)さんと知り合い、親しくなります。
※原作『夢酔独言』からではなく、勝海舟の発言をまとめた『氷川清話』から、小吉と種彦さんが親しかったというくだりから構成しています。
マンガ『夢酔独言』四十三話(1/4)
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※このくだりはフィクション演出です。
吉原でケンカを売られていた柳亭種彦(高屋彦四郎)さんを、結果的に助ける小吉。
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「翌年夏だが、遠州掛川外れの、天宮大明神の神主・中村斎宮の息子で、帯刀というのが、国から江戸へやって来た。」
#夢酔独言
勝小吉19歳、夏。遠州から江戸の剣術使いの弟子になりたいとやって来た中村帯刀という男の面倒を見ることにした小吉ですが、勝家に客人をもてなす余裕はなく…。
マンガ『夢酔独言』四十四話(1/4)
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「遠州掛川外れの、天宮大明神の神主で中村斎宮というのの息子が、国元から江戸へやって来た。石川瀬兵衛という剣術使いの弟子になりたがり、あちこちを訪ねていたから、おれが面倒を見ることにした。」
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