勝小吉が１０代の頃訪ねていた、平山行蔵先生のその後です。『平子龍先生遺事』より。 マンガ『夢酔独言』六十一話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） 「平山行蔵先生に会える人は、そう多くはなかった。人が訪ねても、少しも会おうとされないからだ。近頃はあなたばかりだ、と内弟子の鋭次郎が話した。 どういうわけか、先生はおれをことのほかお気に入りのようだった。」 #はやおき訳

（３／４） 「先生の住まいは仙人の家のようだった。 借地の奥に住まわれ、玄関まで細い寒竹の垣根が両側に続いていた。屋敷の両隣は梅林で、花の盛りの頃は香りが立ちこめ、白梅の咲き連なったようすは、えも言われなかった。 玄関の脇には芭蕉が植わっていて、羽目には蔦が這っていた。」

（４／４） 「先生は毎朝、『人形』と名付けた五尺ばかりの立木を、八尺ばかりの樫の棒で百ぺん叩いてから朝飯を食べられていた。木を打つ音を聞いて、平山様で例の音が始まったといって起きるのだと、勝の拝領屋敷の家主が話した。その拝領屋敷は、平山先生の屋敷の二、三町脇にあった。」

勝小吉が４２歳（天保十四年、西暦1843）で『夢酔独言』を書くに至ったもしものエピソードです。 マンガ『夢酔独言』六十二話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） ※このあたりはフィクション演出です。 小吉には長男麟太郎の下に、「はな」という長女がいました。夢酔（小吉）４２歳の時点で１４歳以上であることから、小吉２４～２８歳頃の子と推測できます。

（３／４） ※このあたりもフィクション演出です。 戯作者で武士の柳亭種彦（高屋彦四郎）さんは小吉と親しかったと、『氷川清話』（勝海舟談）にあります。 種彦さんの著作に、『偐紫田舎源氏』『正本製』など。『正本製』は、タイトルロゴが絵で隠れまくっててカッコいいです。

（４／４） ※ここももちろんフィクション演出です。

テステス、この辺の背景が埋まりました。 小田原で漁師にスカウトされて奉公するも、１週間くらいで飽きて江戸へ帰る小吉。 #夢酔独言

勝麟太郎（後の海舟）７歳。親類のツテで江戸城のお庭拝見に参加しますが、その活発さを認められ、お城務めをすることになります。 ※『海舟伝稿』からのエピソードです。 マンガ『夢酔独言』六十三話（１／４） #漫画が読めるハッシュタグ

（２／４） 「勝（海舟）先生の父、夢酔君の兄は男谷彦四郎、号は燕斎といって右筆を務めた。燕斎の親類でおチヤという女は、江戸城ご本丸呉服の間に務めていた。 先生の家はとても貧しかったが、七歳ばかりの時、何の縁でか、おチヤに連れられ、ご本丸のお庭拝見に参加された。」 #はやおき訳

（３／４） 「他の女中の縁者も、大勢お庭拝見に参加していた。 先生はとても活発でズカズカと立ち回ったので、城の者が誰の子かと尋ねた。おチヤの親類の子ですと答えると、初之丞様のお慰みに、おチヤの部屋へ上げてはどうかという話になった。」