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「拝殿の礎石に腰をかけて、瞑目沈思、心胆を練磨し、しかる後、起つて木剣を振りまはし、更にまた元の礎石に腰を掛けて心胆を練磨し、また起つて木剣を振りまはし、かういふ風に夜明まで五、六回もやつて、それから帰つて直ぐに朝稽古をやり、夕方になると、また王子権現へ出掛けて、…」 
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※このへんはフィクション演出です。
夢酔は切腹芝居にあたり、江戸から首桶を持参した他、当日現地で白装束と白椿を演出のために調達しています。 
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「夜の九つ(夜12時)頃、三嶋宿へ着いた。宿を訪ねて戸を叩き、
『泊めてくれろ』
と言ったら、
『当宿は一人旅は泊められませぬ。韮山様(韮山代官)からの御触れです』
と抜かす。
仕方ないから問屋場へ寄った。役人を起こして宿を頼んだが、
『問屋が公儀の御触れは破られませぬ』」 
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「ある日、千住小塚原の仕置場で死体の試し切りをした。それから山田浅右衛門の弟子になり、度々土壇切りもした。
息子はお城勤めをしていたから、気楽なものだった。」 
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※原作の「金比羅へ毎晩はだか参りをして祈つた」から膨らませたくだりです。
この頃は何にも知らなかったのでフツウに境内に入っていますが、江戸虎の門丸亀藩京極氏の屋敷にあった金比羅宮は月一回しか一般に解放されていなかったので、実際は近所まで行く程度だったと思われます。 
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「おれは竹内の隠居を騙して、とうとう三郎右衛門の判を偽造させて、蔵宿で百七十五両、勤めと入用が林町に急にできたと言って借りた。正之助、竹内、諏訪部龍蔵の三人が、肩衣で道具箱を持って行ったから、蔵宿も疑わずに金を出した。」