(2/4)
「ある日、今井三次郎がおれを訪ねてきた。長谷川が斎藤監物に騙された話をおれがしたら、今井が、自分も同じように騙されたと言う。
おれが監物の居所を聞いたら、
『浅草日音院に居る』
と答えたから、
『騙し取られた金を取り返してやろう』
と言った。」
#はやおき訳
(4/4)
「ふた月ほどでばれて、三郎右衛門がケチなものだから、ひどく怒ったが、どこまでも知らん顔をしてやり過ごした。蔵宿でもあれこれ調べたようだったが、ついに知れずに済んでしまった。」
(3/4)
※このへんは小吉が暴れるだけのフィクションくだりです。
妻の信がひきつけを起こしていますが、後の手紙でそうゆう症状があったとの記述があり、それを参考にしています。
(4/4)
「『酒はいかが』
と虎之助に聞いたら、
『飲みませぬ』
と言う。
『美味い物は』
と尋ねたら、
『それは食べまする』
と答えた。そこで、
『そんなら、ご苦労ながら一緒に浅草辺りまでおいで』
と言って、虎之助が断わるのを、無理に引っ張りだした。」
(3/4)
「初対面の挨拶を済ましてから、いろいろ息子が世話になっていることについて話した。
それから剣術の話をしたが、虎之助はおれの格好をやたらと見て、いろいろ世間ののらくら者について、当てつけるように聞いてくる。その件については前もって聞いていたから、気にせず夕方まで話した。」
(2/4)
「それからいろいろ立替金がかさんで、岡野家一同が困ると、またまた仙之助が悪巧みをして、丈助を出し抜こうとした。そこで丈助が一年分の支払いを計算すると、立替金は三百三十九両にもなったということだった。」
#はやおき訳
(3/4)
「ところがその時は、もはや日は暮れて居るのに、今のやうな街燈はなし、道は真闇がりで、それを拾はうにも拾ふことが出来なかつた。もつとも二ツ三ツは拾つたが、あまり忌々しかつたものだから、これも橋の上から川の中へ投げ込んで、帰つて来たことがあつたつけ。」
(4/4)
「おれが吊るされている下で皆が集まって、おれの饅頭まで食いおるから、上からおれが思いきり小便をしてやった。食べかけた物に小便が撥ねたものだから、残らず捨ててしまっていたが、その時は、いい気味だと思ったよ。」