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「それから一年ほど経ち、厚雪が大病になったから、いろいろ世話をした。
その時厚雪が、
『今度は回復が見込めないから、伜のことは万端頼む。嫁を取らせて御番入をするまでは、必ず見捨てずに世話をしてくれ』
と言った。
『聞き届く』
と返事をしたら、喜んで、翌日亡くなった。」
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「しょせんここに長く居てもつまらぬから、上方へ行こうと思った。そこでいろいろ支度していたら、ある晩、斎宮が、
『江戸へ帰りなさい』
と、意見を言ってくれた。おれは、
『もはや決して江戸へは帰られませぬ。この度で家出は二度目でござります。かたじけないがききませぬ』」
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「おれは中村親子に江戸のようすを話して、
『思い出したから会いに来たのさ』
と言ったら、
『まあまあ、ゆっくりしていきなさい』 と、座敷を一間空けて、不自由のないように世話をしてくれた。
おれは近所の剣術使いの所へ試合をしに行くやら、いろいろ好きなことをして過ごした。」
勝小吉28歳。亥の日の祭で、神主の甥とケンカになり、刀を抜く騒ぎを起こした小吉。周りの人の仲裁で騒ぎは収まりますが、今度は仲直りの印に、大嫌いな酒を飲むよう勧められてしまいます。
マンガ『夢酔独言』六十話(1/4)
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勝小吉28歳頃。祈祷師の殿村南平に弟子入りした小吉が、寄せ加持をしたり、除霊したりします。
マンガ『夢酔独言』六十七話(1/4)
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※このへんはフィクション演出です。
小吉隠居後(あと40話くらい後)の話です。
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「『明後日、常磐町で狐博奕があるから、俺と一緒に行ってくれませぬか。勝つと大金が入るから、一人では帰りが心配だから』
と、諏訪部が言った。
『おれは博奕には今まで手を出したことがないから嫌だ』
と言ったら、
『ただ行って、食物を食って寝て待っていればいいんだ』
と言う。」
勝小吉32歳頃。御用聞きの男の世話を頼まれ、ツテを頼って仕事を斡旋します。ところが、お礼の金を要求すると、男は急に態度を変えて…。
マンガ『夢酔独言』八十五話(1/4)
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「親類の牧野長門守が、山田奉行から長崎奉行に転役した。
虎の門外桜田町の尾張屋亀吉という安芸の小差が、牧野の小差になりたいと、水心子秀世経由でおれに仲介を頼んできた。話を聞いたら、金を五十両持って来て、
『これで牧野様のお好みの品を買って差し上げてください』
と言う。」
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「その代わりには、いつも市の終わりには、例え商人が五十人いたとしても、蕎麦一杯ずつでも、なるべく食わせて帰すようにした。町人は一文二文で一喜一憂するから、皆が喜んで、あちこちの市場に、おれが載る座布団を置いてあったものだよ。」