押上駅から徒歩10分、桜橋通り、創業56年のラーメン屋。数年前に「中華と洋食」の看板を下ろされオムライス等は品書きから無くなった。女将に先立たれた老齢の店主を娘さんが支えて営業されている。以前は近隣に出前もされ、料亭街の盛衰をずっと見守り続けた向島の生き字引のようなラーメン屋である。
「親が56年前に2階でお店を始めて30年前ビルの建て替え時に1階に移転したの。昔は1階にも2階にも沢山飲食店があったけど今はうちと2階の喫茶店だけになっちゃった。寂しくなったわね」
寂れた食堂街に唯一生き残る食堂にて全く期待していなかった天ぷらもヒレカツも温泉玉子も記憶に残る絶品であった。
千住大橋駅徒歩3分、足立市場食堂棟に佇む創業50年超の食堂。以前は甘味処のイメージだったが今は甘味は安倍川のみ。麺類をメインに2代目の店主ご夫婦で切り盛りされている。冷やしたぬきを頂く。具沢山で旨い。並びの行列ができる新参者の食堂と違い昔からの常連や場内関係者相手の実直な商売に敬意。
「お腹が痛い」から深夜3時まで営業している弁当屋であみ焼き弁当を買った。50年くらい前からあるらしいけどこんな弁当知らなかった。両替町名物?聞いた事なかった。どうせ名物とか胡散臭い宣伝するような弁当は美味くねえだろ、と思ったら美味かった。豚肉の下のタレが染み込んだご飯が滅法美味い。
大宮駅から徒歩20分、上小町、首無し地蔵尊近く、個人商店が殆ど生き残っていない住宅地に佇む大正14年創業の蕎麦屋。あと4年で百周年。創業前年の大正13年の地図を見るとこの界隈(上小村田)は一面田圃である。往時に思いを馳せる。
鴨汁付け饂飩とざるそばを頂く。手打ちうどんは平打ちで食べ易い。
昭和50年公開「極道社長」に登場する大衆食堂「民ちゃん」の看板には「うどん丼物一式」と記載がある。この宣伝文句「丼物一式」を東京の蕎麦屋や大衆食堂で見かけた事がない。大阪の山王市場通商店街に佇む「助六」にこの記載がある。関西で「丼物一式」を看板に掲げる店が点在しているのは興味深い。
水戸駅徒歩20分、本町商店街(ハミングロード513)に佇む創業68年のラーメン屋兼甘味処。客席裏の厨房から餅を搗く音が聞こえて来る。寿司一皿とドーナツ、キンピラ団子を頂く。餅は搗き立て、寿司は巻き立て、やはり手作りの味は旨い。
商店街の和菓子屋が衰退する中で水戸に繁盛店が生き残っていた。
五反田駅からシャトルバスで約4分、来年解体予定のTOC(東京卸売りセンター)地下1階に佇むTOCビル建設の昭和45年創業の喫茶店。高齢のご夫婦で切り盛りしている。95歳の女給が誰の助けも借りずたった1人で給仕する稀有な喫茶店だ。クロックムッシュ、珈琲、クリームソーダを頂く。至福の時間。喫煙可。