さりげない描写だが、主人公が合コンでうまくやってるところ、同席した女友達が応援気分でいるいるのが良い。この手の描写があるとき、だいたい女友達は「嫉妬しているうざい背景」にされてしまうのが、婚活パーティ場面の定番だから。
母は解離性同一性障害を患っていてカルト宗教信者だった、父は統合失調症を病んで餓死したと設定されていて、主人公にも遺伝的/遺産的にその困難が訪れる。
基本的におもしろく観たものの、「世間では発狂とかカルト信仰とかいうのが非常に怖い要素なんだな」という冷めた感慨もある。現在の私は
感じ方が変わっているかなと思い、『天才バカボン』を読んでみることにした。さいわいに分厚い2冊の傑作選が出ている。読んでみて、どのあたりが苦手だったか思いだした。おもしろさの押し売りになっているというか、「ここまでやってるんだから笑え」という自慢に感じられる作風なのだ。