『狂人』佐藤まさあき
(1969 佐藤プロ)
冤罪で強制入院させられる主人公という設定は後の「堕靡泥の星」でも使われているが、この当時任意入院はまだ規定されておらず、精神科への入退院は保護者と医師のみで決定する事が出来た。この隔離収容施策は後に多くの社会的入院を生み出していく事となる。
『第七病棟異常なし』
山上たつひこ(1968 コミックmagazine掲載)
狂気と正常の境目は何処にあるのか、その曖昧さと脆さを炙り出すアイロニーに満ちた短編。
1964年のライシャワー事件後法改正を含めた治安維持の取り組みや隔離収容的な施策は拡大していき、本作発表の翌年には「狂鬼人間」が放映。
『妖怪探偵團』手塚治虫
(1948 東光堂)
封印作品としても有名な本作。精神病者と奇形とお化けを集めて妖怪クラブってそりゃ完全にアウトでしょう。
だが奇しくも、この同年優生保護法が施行されており、少なくともこの時代における精神病者は正に不良種として社会から排除される存在であったのだ。
魔太郎の単行本未収録作品と言えば『魔太郎の生いたち』。
魔太郎という作品のルーツに言及した回だが、気になっているのが高岡の定塚国民学校時代に二人で共作したという『悪太郎』という漫画。
この漫画は果たして実在したものだったのだろうか?
気になっている。
『楽しい老後』風忍
週刊少年サンデー 1978.11増刊号
風忍先生と言えばBDやブルース・リー、鈴木清順等から影響を受け、それらを独自に融合させたサイケな作風で知られるが、元々はギャグ漫画が出発点。
本作はかつてのヒーロー達が入所している施設で巻き起こすドタバタ劇だが、何処か切ない。
男旗名場面集 その2
全国高校野球の大阪地区予選第1回戦、愛染高vs回転工。
野球の才能に恵まれるもそのド外道な人格故に誰からも恐れられ、誰からも信頼されない男、真希。
彼の度重なるラフプレーに対して遂に母校、回転工の生徒達は信じられぬ行動に出る!
とにかく読んでくれ!
面白いぞ! https://t.co/LJKirVSG63
精神疾患・障害関連の案件としては
「タイコ持ち学入門」
「分解された男たちのブルース」
「与一の頭に穴四つ」
の三編だろうか。
「与一の〜」には参考文献として高杉晋吾「頭脳支配」が挙げられている。「ルポ・精神病棟」とも同時期の作品だが、その辺の背景も照らし合わせながら読むと興味深い。
『喜劇新思想体系』山上たつひこ
読了。ギャグ漫画というフォーマットでタブーをこれだけ限界まで追求した作品ってないんじゃないかしらと思わされる。
障害者=心が美しいという勝手なイメージ(烙印)にまで踏み込んで、徹底的に偽善の皮を剥ぎ取っていく。
あぁ、これ10代の頃に読みたかったなぁ。
この『首かざり』なんかも本当に後味が悪く、直野先生は一体何故当時このような作品を連発していたのかお聞きしたいぐらいだが、それ以上に編集部が適当に考えたであろう柱の煽り文が救いの無い結末に輪を掛けているのであった。
「あなたもいのってね!」じゃないよ!
『血ぬられた誤算』
竜 伸太郎
凡天太郎先生の表紙でもお馴染みの「漫画OK」(新星社)。
創刊号には水木先生ライクなタッチの本作が掲載されている。
バナナさんによれば幾つかの名義を持つが、黒須喜代治の可能性もあるのではないかとの事。
雑誌という無限の沼には未だ解明されていない謎が多い。 https://t.co/aUtCWK8kEY