西谷祥子「気がちがい荘の住人達」
所謂、花とゆめコミックス紙ジャケ時代のタイトルで、西谷先生のキャリアでは中期の作品である。本作はたんぽぽ荘で巻き起こる主要登場人物達のすれ違いを描くラブコメ作品。タイトルの意味は個性的な住人達の総称、という解釈で着地。
#タイトルだけで買った漫画
巴里夫「疎開っ子数え唄」
屈指の反戦漫画シリーズである「ぽるぷ平和漫画シリーズ」のいち。戦争に巻き込まれる一般人がいかに絶望的な状況におかれていたかがよく解る傑作。巴先生ならではの高い構成力も相まってキツい内容の割に非常に読みやすいのだが、読後のダメージも当然ハンパない。
谷口敬先生の少年マンガへの憧れ、みたいなものはダイナミックな動きやコマ割りの導線に顕著である。美少女漫画でありながらこのメリハリは刺激的だっただろうし、静と動の緩急が本当に素晴らしい。
鈴賀レニ「ミキとアキ」
アイドルものはおしなべてスポ根要素や因果設定が強く、本作も後に明かされるメイン二人の関係性やライバルとの対立が、ストーリーのスパイスとして機能している。
王道ともいえるストーリー構成の中でもなお本作が煌めいて見えるのは、キャラクターの可愛さに他ないだろう。
大坂選手が決勝に行ったとき「世界中色んな所を行ったり来たりするだけでもしんどそうよねえ…一流プレーヤーは常人離れしていて本当超人だよ」という旨の会話をしている端で俺は「燃えよ!スマッシュ」の日野陽子が見せる常人離れした狂気を彷彿させる表情たちを思い出していた。
坂元勲「わたしは笑ちゃん」
今回は非常に危険な内容で、実際に真似をすると高確率で発狂する恐れがあるため、夏の増刊で初めて読んだ時「勲ちゃんマジか!」とひっくり返ったのも記憶に新しい。改めて読み返すと相変わらず"やべえ"という印象は拭えず、個人的に大好きな一作だ。
#ちゃおホラー傑作選
福永まこ「欲望しりとり」
福永先生お得意のアイテムホラーの傑作。キチンと因果に基づく対価を支払わせるのが氏の作品の特徴でもあり「ウマイ話には裏がある」という事を示してくれている点は特筆すべき点である。
大人になって安い詐術に引っ掛からない為にも読むべし、なのだ。
#ちゃおホラー傑作選