「児童漫画調の可愛らしい絵柄でえげつないことをする」といえば、森野うさぎ先生が先駆者の一人。ぷにろり系の絵柄で三流劇画っぽいバイオレンスを描いている。望月かつみ先生もそうだけど、ルール34の源流はこの辺にあるように思えてならない。
古本屋の少女漫画コーナーで知った、いしかわえみ先生の『絶叫学級』全20巻。絵柄こそホラー漫画らしくなく、かわいい少女漫画だけど、JSやJCが理不尽に地獄に堕ちる話が延々と続く。モンドに逃げない正統派ホラーで僕は好きです。貸本ホラーはバカみたいに高いから、最近の少女ホラーを集めようかな。
宮武外骨が解釈する自然主義文学のイメージ(笑)
当時、現実をありのままに描く自然主義小説(島崎藤村とか田山花袋)が人気だったが、外骨は小説を馬鹿にしていたので、自然主義はマヌケであるという風刺を行った。(所載『滑稽新聞』明治41年6月20日号)
【青年コミック】
E36b 野山露(やまつばき)『同人誌のつくりかた』
F07b 佐藤一繝(鉄幻コークス)『口笛未遂Vol.6 SHIAWASE』『SMOKING AREA』増補版(https://t.co/nWwa3NqbIa)
G24a 大森かなた(サニー・サイド・リバー)『あの子にプリント持ってく係』(コピー誌)『恋愛漫画』
ダメおやじのWikiには「妻から、まだ描いてたの?と言われた」から路線転換したとあるが、ソースは不明。一方、読売のインタビューで古谷先生は、現実が漫画を追い越したような、最低すぎる事件が次々に起き、「社会が僕の漫画を追い越してしまったから、路線変更せざるを得なかった」と告白している。
ダメおやじは、曙出版を知るきっかけになったので、おいらにとっては忘れられない作品。悲惨な主人公でも幸せになって良いんだ、と今になって感動する。不確定性原理ではないが…根本・山野的な因果律の「破れ」を成し遂げた主人公が、ダメおやじだった。
虚無や厭世、破壊的なバイオレンスギャグ、表現の極限まで行き着いた先に咲く花。前半のダメおやじは、等身大の人間の惨めさやおかしさ、そして、ちょっとした希望を描き切った作品。のちのペーソス蘊蓄路線に移行する部分もそうだが、不世出のヒューマンドラマだと思っている。