ねこぢるyの長編新作『汁ゾンビ』読む。ねこぢる作品『半魚人』の続編。『夢の島』時代の山野一を想起させる猟奇的かつSFチックな内容だけど、邪悪さは感じられない。ねこぢるの天衣無縫さ、山野一の突き放したギャグセンスは健在。シュール味はなく、安心して読める作品。山野一の円熟を感じさせる。
このあたりが顕著と思う。『幽玄漫玉』のラストでは、これまでのように茶化して相対化する余裕まで失われ、むしろ丸裸になって身辺を明け透けに語ることが、唯一の逃げ場だったのかもしれない。自分とその表現に酔うことを徹底的に否定しようと、もがく生きざまこそが、この作品を傑作たらしめている。 https://t.co/ae1gv4sVHL