相談役島耕作の最新話で、あの「理想の上司」中沢さんが、島耕作の白昼夢の中で久々に登場してドキッとしたんだけど、狂言回し的な台詞しか与えられず、ずいぶん雑な使われ方をするようになったな、と。昔の弘兼先生ならもっとグッとくる話に出来たはずなんだけど。
今週の『相談役 島耕作』。シリーズを長く読んできた人には懐かしい、あの絵のうまい池上君が久々に年老いて登場。一話完結で、人情ドラマだった頃の読後感。
このシリーズも今後は無理にビジネス情報を持ち込まず、早く相談役を引退して、こういう人情路線で老衰を描き切ってほしいな。
月刊柳沢きみお、10月号が発売されたので、ドストエフスキー『罪と罰』漫画化連載を読んだところ、衝撃の結末が……。『特命課長只野仁』も唐揚げを買いにいくだけの話を2ヶ月続けたし、本気で心配になってきた。
水島新司は『サラリーマン太平記』というwikiにも載らないサラリーマン漫画を1968年に発表している。車の販売営業をする冴えない主人公がスパイ容疑でクビになり、退職時に貰った車を使った移動式蕎麦屋になるという哀愁漂う人情劇で、途中で作者本人も登場していた。
『騎士団長 島耕作』第2巻。日本サラリーマン漫画史上最高の名悪役、今野輝常がついに登場。今野キツネというあだ名だった彼をキツネの神にするという原作リスペクトぶりが嬉しい。ただし今野さんはあっというまに改心して、話としては3巻で終わりそうな予感。話の展開的にもうひとやま欲しい。
今週の相談役島耕作。テコットを追放された元役員のショボくれた老後が詫びしい。そうなんだよ、これからの島耕作に必要なのはこういう老いの侘び寂びなんだよ。ビジネス情報よりもこっちをどんどん描いて欲しい。
『騎士団長 島耕作』第3巻。王国民を怠惰にしてしまう謎のラスボスが、実は島耕作(団塊世代)の立身出世ファンタジーにより生きづらさを抱え込まされた氷河期世代=団塊ジュニアの怨念だったという展開は秀逸。原作をリスペクトしつつ批評にもなっている、見事な終わらせ方だった。
1987年に柳沢きみおが描いた『俺にはオレの歌がある』。つげ義春の純文学的短編『退屈な部屋』をきみおが大衆小説的に解釈した佳作。家族や会社に内緒で部屋を借りて二重生活を始めた35歳サラリーマンの心の旅。後半は今読むと近年の中年meets女子高生マンガの先駆的な展開にも見えた。