この後、森の人との出会いを経てミト達と合流し大所帯となったチーム風の谷(仮)の中で、アスベルはガンシップのパイロットとして、また偵察役やエンジニアとして確固たるポジションを得ていきます。この辺のコミュ力も主人公みがありますね。
というのも、ここまでの旅路でナウシカは常に「正義の所在」を問い続ける存在でした。マニ僧正に、上人に、クシャナや神聖皇帝たち、更にはおのが虚無にまで「本当に他にもう道はないのか?」と。
それは「外界」との交易(と注がれる蔑み)無しには生きていけない蟲使い達にとっては眩いばかりに「高貴な」生き方であり、また厳し過ぎるが故に俗世の欲にまみれた自分達には到底真似できない、正に畏れ敬うべき存在でした。
「LGBT問題を扱う本は人の生死に関わるから差し止めも当然」論、じゃあそんな危ない問題を棍棒にしてきた連中も十分危険だと言う点に考えが及んでいなくて話にならない。…そもそも、人の生死云々を誰がどう線引きするという問題があり、それを「お目覚め文化人」が裁定すること自体「信用ならん」。
長編漫画「パンプキンシザーズ」は最近は組織論としても面白い点が多々ありますが、特に17巻「死ぬな」の短い命令に見る、無理筋な命令への「責任と矜持」には非常に身につまされるものがあります。以下、少し取り上げてみたいと思います。
#パンプキンシザーズ
ナウシカ救出直前に、蟲使い達といつの間にか打ち解けている様子が描かれているのもいいですね。あと終幕、泣いて駆け寄るケチャを迎えるアスベル。最後のページに描かれる主要人物はセルム・ナウシカ以外は実はアスベル達だけなんですよ!その意味でも本作はアスベルの冒険譚でもあったと思うのです。
漫画版 #ナウシカ ですが、改めてアニメージュ連載版を見返すと、本筋以外の細々した点もかなり修正されていて興味深いです。たとえばこちら、4巻カボ基地編の導入部ですが、連載版(左)と単行本版(右)ではクロトワ達の所在地が全く異なっています。
蟲使いはその名のとおり、腐海の蟲(蛞蝓に似た嗅覚の鋭いもの)を用いた、腐海内外での「もの探し」や腐海の産品(王蟲の甲皮等)の交易、或いは傭兵業等で生計を立てています。
即ちクシャナの周囲には先王に近い勢力が集まり、三王子にはヴ王に近いーというよりヴ王の「次」に粉かけようという、ヴ王治下ではやや重用されない反先王派ーが集う。そしてそんな彼らの牙城が第三軍・第二軍となった、というわけです。
このことを、恐らく誰よりも熟知していたのが皇兄ナムリスでした。即ち、彼は今際の際の弟に、自らの帝国を自身で切り取ると宣言すると共にこう告げるのです。「この墓穴(墓所)とクソ坊主ども(僧会)はお前にくれてやる」、と。