話を墓所編に戻すと、実はナウシカ側にも危うさはあります。先に述べたようにナウシカは武器も帯びずに墓所に向かい、危うく墓所の攻撃により自我を破壊されるところでした。実際、最後に墓所を倒したのはオーマによる物理攻撃です。
一方、この時谷に集まっていた辺境諸国の長は、来るべき土鬼の辺境侵攻に備え、当てにならぬトルメキアへの臣従破棄と辺境諸国の軍事同盟結成を主張します。実はナウシカもそれを見越して、ミト達と共に虎の子のガンシップを谷に帰還させていました。
厚い信頼と言えば、今回は小笠原主従のコンビネーションもバッチリでした。それも濃厚なサービスシーン(?)付きで。敵役のはずなのに、微妙に憎み切れない、しかも強くて魅力的という(目や耳が本当に「口ほどにモノをいう」のはさておき…)
#逃げ上手の若君
即ちナウシカは幼生王蟲の血で青く染まる衣を纏い、幼生を群に返すことで群の怒りを鎮めます。王蟲たちはそんなナウシカに心を開き、その触手を金色の野としてナウシカを載せ、彼女の傷を癒していきます。
この辺りの王の老獪さを「この世の終りが来るぞ」「毒蛇がエサとりに出て巣穴を小蛇に盗られたとさ」と即興で皮肉る道化は、やはりタダモノではない知性の持主に思えますね。やはりヴ王&道化主従は最高(*´Д`)ハァハァ
そして恐らくは、彼等自身もまた自らの「腐海依存」に自覚的でした。だからこそ彼等は腐海の存在意義を揺るがすこととなる、浄化の果て・腐海の尽きる地の真実=「そこでは腐海も、人間すらも生きていけないこと」をタブーとしていたのです。それは正に彼等の「世界の終わり」に他ならないから…
ここで思い出されるのが蟲使いの村での王蟲培養です。即ち、王蟲の群れを怒りで操るエサとするため、土鬼僧会は蟲使い達に王蟲の卵の欠片を手に入れさせ、これを材料に王蟲を培養していました。
蛇足ですが、漫画版ナウシカには、土鬼の伝承として「白い翼を持つ使徒」が現れます。もしこれが遥か遠い過去の、「聖Nova」と「有翼の少女」に纏わる記憶に基づくとすれば、なかなかロマンのある話ですね。