「秘石」を胎盤から外すことで巨神兵の成長は止まりましたが、アスベルによれば、巨神兵を抹殺することは勿論、傷をつけることさえ叶いませんでした。このことから、ペジテとしては(劇場版と異なり)、巨神兵の復活は「阻止」したかったと考えられます。
まず一点目ですが、事の始まりはペジテの坑道で発見された巨神兵の「骨格」に、「秘石」を用いた(胎盤たる黒箱に鍵を嵌めた)結果、巨神兵の成長が始まった=生きている巨神兵の発見にありました。
とはいえ、サパタでのナウシカの戦いには、まだ「独りで背負おう」とする姿勢がありました。単騎で抜け駆け、鏑弾で土鬼軍を混乱させつつクシャナの撤退を援護したのです。それは彼女なりに、なるべく「戦い」をしない、またクシャナへの借りを返そうとする姿勢でもありました。
これは考えてみれば中々に厳しい要件です。即ち土鬼において新たに王権を建てる場合には、自力で前王権を打倒した上で、その力を捨てて(捨てさせられて?)「丸裸」にならねば墓所から選ばれない=王としての正当性を確保できなくなってしまうからです。
例えば、墓所の主は、相手が自身を世俗で庇護する≒自身の意を汲む限りという条件を付した上で新王を「選び」ます。また、その際は外圧ではなく墓所自身の判断によることを明らかにすべく、新王が「武装解除」することも要件となります。
まず、各部族のトップですが、これはマニやサパタの例を見る限り、部族出身の長老が「僧侶を兼ねる」パターンであり、僧会派遣官僚が統治しているわけではなさそうです。
このため、浮砲台を中心とする土鬼航空軍が攻撃に出られるのは基本的にトルメキア側のエアカバーがない/戦線が伸び切って息切れした状態であり、いわば「後の先」を取る防衛戦が主たる想定環境となります。何せコルベット10隻もいれば全艦隊が「イチコロ」という状況ですから…
そしてミラルパはナウシカの心の中の「光」=豊かな腐海の中で幼子のように無邪気に燥ぎます。既に霊体となった時点でミラルパの現世に絡む執着はナウシカへの憎悪ーそれも肥大した脳内イメージに基づくものー以外喪われており、その憎悪が実態のないものとして霧消しまえば、後には何も残りません。
そしてナウシカとミラルパはナウシカの精神世界における「光」=ナウシカのイメージする豊かな腐海の入口に至ります。ここでナウシカは、ミラルパを自身が光と不可分に抱える闇の一部として、心の光(腐海)に迎え入れます。