即ち、ミラルパはこの期に及んで「僧会による教化が十分行き届けば帝国は平和になる→不十分だから「青き衣の者」等が出てくる、もっと厳しくせねば」という、「僧会を通じた平和」を無意識的にとはいえ無邪気に信じていたことになります。正に「嘘も百年続ければ本人まで信じだす」有様ですね。
なおタレーラン学科の場合これ↓ですからね。恥も外聞もナポレオンへの仁義も無いですが、「フランスの保全」という大目的は果たしたし、正統主義という「便利なエサ」も相手側諸国に与えて場を収めている。
即ち、シュワの墓所の中枢は「浄化の神」たる人造生命体ヒドラの「旧世界の叡智の結晶」であり、都を一撃で消し去るビーム砲「天の火」を有し、また兵士ヒドラの培養漕も備えています。旧世界の科学技術と軍事力の結晶という性格が正に瓜二つなのです。
しかし考えてみれば「遍く民衆を救済するために目配せする」と「遍く民衆を監視し善導する」は紙一重。結局は根底に自愛があるか、慈愛に疲弊した果ての不信があるかだけの違いですから。愛の反対は憎悪ではなく無関心、だからこそナムリスには弟の懊悩は滑稽にしか見えなかったかもしれません。
これに限らず、漫画版での巨神兵の軍事的扱いは「不完全な」厄介者であり、劇場版のような最終兵器・腐海焼却の「切り札」とは程遠いのですが、その分、列国の駆け引きの道具として描かれている点が面白いところですね。
こうした中、僧会(及び皇帝)は紛争仲裁者としての役割を期待されたと考えられます。当事者同士でいがみ合うより、「余所者/共通の嫌われもの」に捌いてもらった方が、相手から自分達に返ってくるヘイトも(相対的に)少ないですしね。
より正確に言えば、「墓所」や「庭園」の設計者という「他者」がかくあれかしと期待した理想純度100%の世界に、普通の人間が何の疑問も抱かず適合できるでしょうか?結論から言えば、「そんなものは人間とは言えん」(byヴ王)。