TRPGセッションには、薄っぺらな正義や愛憎が過分に含まれる。「きみが怪物でもかまわない」とか「永劫の闇に堕ちてもいい」とか。それを「薄っぺらい」と笑えないのは・・・自分もそうだったから。うちのセッションは逆に酷薄だったけど、「仕方ない」と割り切ることが正義と思っていたから。
驚くのは、原作漫画とぜんぜん違うこと。父はそれほど異質じゃないし、オスカルも抵抗なく軍務につく。出崎統が、シリーズ全体を活かすために凝らした、演出なのだ。止め絵がすごいんじゃない。そこに至るまでの過程がすごいのだ。
(電脳という発明)
なので、士郎正宗『攻殻機動隊』(1991)の電脳は、めちゃくちゃショックだった。脳そのものを機械化するとは! 私が20歳のころだ。その後、ギブスン『ニューロマンサー』(1984)を読んで、ゴーストダビングを封じた士郎正宗のセンスにうなった。
(生体脳へのこだわり)
平井和正や石森章太郎は、脳こそが人間と考えていたようだ。『ロボット刑事』も、漫画では生体パーツを使っていたしね。
頭蓋に脳が入っていたら、機械の体であっても怪物であっても、人間とみなす。私もそれが当然と思っていた。
ブラック・ジャック「閉ざされた三人」(1974)
デパートの陥没でエレベータに閉じこめられたBJと二人の親子。エレベータは密閉され、酸素が不足する。BJは重症の父親を毒殺する。
救助されたBJと息子。注射したのはインシュリンで、父親は仮死状態だった。BJは手術代をデパートに請求する。
◆性癖を歪めたキャラ(番外):有栖川桜
桜は常識人で、ことさら隠したり、強調しない。自分の在りように悩まない。あまりに自然体。烈は桜を親友と認識しており、まったくブレないのも凄絶。
本作が「コロコロコミック」に連載されていた事実に驚嘆する。どれほど多くの少年が道を踏み外したことか。
◆成長する魔神
短時間で成長すると言えば、『ウルトラマンメビウス』のヒビノ・ミライ。1発目は当たるけど、2発目は対処される。1発で仕留めないと駄目。あと、『ダイの大冒険』で、ダイが双竜紋を使いこなすくだりも印象的。敵にとって、レベルアップする勇者は恐ろしい怪物だ。