失声症ゆえに級友達とのコミュニケーションに悪戦苦闘する主人公(天然)と、人の心の声が聞こえるために彼女の想いが伝わってつい手を貸してしまう心埼菊乃(見た目ヤンキー)。
自身への感謝の声も丸聞こえでその度に顔を赤らめる何だかんだで面倒見のいい菊乃と、ついぞ知らない主人公の様子が素敵。
これからの行く末にも関わってきそうな一筋縄ではいかない登場人物の存在も明かされ、続きがますます気になる今日この頃。
本作の舞台となるのは「誰かの夢が叶う=誰かの夢が破れる」という、栄光と挫折が表裏となった競争社会。
その中で自分の将来に関する選択が常に迫られるのですが、そこで表れる登場人物たちの真意がとても素敵です。
特別としかいいようのない関係が描かれるので興味があればぜひ。
せりかに手を差し伸べることで組織の中で立場を失い、今後自身が二度と宇宙に飛べなくなる危険を知りながら、それでも手を伸ばす絵名が素敵。
宇宙飛行士という限られた椅子を奪い合う立場でありながら、互いに認め合い同期として真の友情を育んできた二人の絆が感じられます。
日々加速するバッシングに事態を重く見た上層部は新薬実験の中止をせりかに通達します。
失意と同様に包まれるせりかですが、そんな彼女に同期としてJAXAの試験を通過し過酷な訓練を共に乗り越えてきた絵名が
「私しかいない」
と手を差し伸べます。
父の命を奪ったALSという不治の病の治療薬を開発するため、無重力下での実験に携わりたいと宇宙飛行士を目指した伊東せりか。
夢が叶い宇宙ステーションへ配属された彼女ですが、個人的な恨みを持つ人間によってゴシップが流され、地球からの激しいバッシングにさらされることとなります。
『宇宙兄弟』37巻が来週発売なので。シリーズの中で個人的に好きなシーンを。
宇宙飛行士を夢見る者達が限られた椅子を奪い合いながらも互いに認め合い絆を育んでいく姿が感動的な本作。
恋愛感情ではないのですが日本人宇宙飛行士のせりかと絵名が宇宙ステーションで見せる絆がとても素敵です。
深海紺先生『春とみどり』の主人公みどりにも、記憶に焼き付いているつぐみという大切な存在がいます。
社会人として働きながら学生時代のつぐみとの思い出と共に日々を過ごすみどりですが、ある日つぐみの訃報がもたらされます。
葬儀に訪れたみどりが出会ったのはつぐみそっくりの一人娘・ハル。
百合とは関係ないのですが、匡乃下キヨマサ先生が描く魚のイラストがとても素敵なので魚好きの方もぜひ。
生きているかのような光沢、躍動感を感じさせる構図、手書き(?)の解説などなどほとばしる情熱を感じること請け合いです。
そうした"二人で過ごす時間を積み重ねていった先にある何か"について印象的に描写されているのも素敵です。
共にいるポジティブな未来を二人が同時に想い描く姿に百合を感じることができるかと思うので、お好きな方はぜひご一読を。
バイクに二人乗りをしたり、星空の下で焚き火をしたり、大人の酒盛りにまきこまれたりと新たな体験、出会いに満ちた二人のアウトドアライフが微笑ましく、また風景描写が美しいのでコマを眺めているのがとても楽しい作品です。