ってか、他にも第二部第1章「シンガポールとマレーシア 海南チキンライス・ホーカー・ニャニョ料理の帰属」などなど、各章でもはや、ちょっとした新書一冊に匹敵するレベルの充実が過ぎる内容で、これで2500円+税は圧倒的破格。
画像は全く関係ない川勝徳重『電話・睡眠・音楽』の一コマです。
もっとも、この4コマでは、本来の”オチ”にあたるところに「アメリカで飼われている日本猫はもう日本猫じゃニャイのか…」という台詞があります。
”日本猫”が日本産の猫の、品種の総称を指すのであれば、そのような喩えをナショナル・アイデンティティ絡みの話で持ち出すのは、レイシズムの表れです。
谷口ジローの『歩くひと』は、決してほのぼの漫画では無く、カルト映画『泳ぐひと』から着想されていることからも伺えるように、そこはかとない狂気を孕んだ作品でゾクゾクする。これがバブル期に描かれたことも含めて。
大判でページも開きやすい愛蔵版を是非。
古本で定期的に入ってくる『美味しんぼ』だけど、値付けの時にパラっと開くと思わず読み込んでしまう。
このジャガイモをバターでことこと4時間煮込む「ジャガイモのバター煮」は作ってみたい🥔
(『美味しんぼ』67巻「ジャガイモ嫌い!!」より)
“妻”や“母”、時には“嫁”であることを求められる「家庭」という入れ物の中で少しずつ、自分というものを削りとられていく32歳の女性の繊細な心のうちと、それを取り戻す自立への歩みを、平穏な日々の営みの中で描いた、やまだ紫『しんきらり』。
またまだ読まれるべき作品で、絶版は惜しい。
高野文子『るきさん』。
バブル只中の『Hanako』連載ながら、雑誌が吹聴する流行やステイタスに流されないるきさんは、"のんびりマイペース"の言葉では片付けられない。
このコマでえっちゃんが読んでるのがまさに『Hanako』で、るきさんはそのライフスタイルを「やーよ こわい」で一蹴してしまう。
かといって、流行やステイタスに敏感なえっちゃんはえっちゃんで、そのファッションも含めて魅力的なキャラクターとして描かれているし、(時に余計なお節介があったとしても、)彼女の興味や知識をバカにしたりは決してしないのも『るきさん』。