その事実を明かされたKは激しくショックを受けます。自分を作ってくれた母と慕う玲子はKに、玲子にとっての弟であり、玲子と竜治の母の脳を持つKにとっては「息子」でもある竜治を捕まえさせようとしていたのです。
悪の道に走った弟の行動を止める為に両親が残した設計図からKを作り出します(竜治が殆ど持っていき、玲子の元にはKのタイプしか残ってなかった)。そのKには電子頭脳のかわりに母親の脳細胞から増殖再生した本物と変わらぬ「人造脳」が使われていたのです。
玲子がまだ幼かった弟・竜治に両親が受けた真実を教え育てた事と、彼の為についた嘘(玲子の顔には大きな火傷があり、それは物心つかぬ頃の竜治のいたずらの結果でしたが、その罪に悩まないようにと軍の拷問によるものと伝えていた)から竜治は人と世を憎みバドーとして暗躍する事になります。
萬画版のKは同僚の刑事や守るべき人間たちからもその機械の身所以に恐れられ、疎まれ罵倒され続けます(最初は好意的に接してくれた者もKの繊細な心に恐れを抱き態度を豹変させる事も)。それでもKは人間の心に憧れ続け、人の心を理解し近づこうと努力し続けます。
迅と滅の「心」や或人の中にもあった「悪意」の描かれ方を見ていて、萬画版ロボット刑事の終盤に描かれるKの心に通じるものが感じられてしまうのです。